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テーマ:連載戯曲(216)
カテゴリ:どん・きほーて
桐子 なんで、そんなモノ持ってるの!?
和人 いや、最近物騒だから、護身用に……。 桐子 男なら素手で戦いなさいよ! 和人 相手が素手ならいいけどさあ、なにか武器を持ってるかも知れないだろ?念の為だよ。 桐子 男なら相手が武器を持っていても素手で立ち向かうの。 和人 そんな、映画や漫画じゃないんだから、相手が男で武器を持ってたら、こっちが素手で勝てる訳がないじゃん。 桐子 勝てるわよ。 和人 勝てないよ。 桐子 勝てるって、現にお父さんは勝ってるし。 和人 ・・・ん? 桐子 どうしたの? 和人 ちょっともう1回言ってもらっていい? 桐子 だから、お父さんは武器を持った相手にも勝ってるわよ。 和人 んっと・・・経験として勝ったことがあるとかじゃなくて? 桐子 ううん。いつも勝ってる。 和人 あ・・・そうなんだ・・・いつもなんだね・・・そりゃあ凄いなあ・・・。 和人 静かに離れようとする 桐子 何処に行くの? 和人 いや、なんかあっちで音が聞こえた気がして・・・なんだろ?。おーい誰かいるのかー!? 桐子 なんか、その言い訳さっきも聞いた。 和人 俺?俺はしてないよ! 桐子 ううん。和人じゃない。さっき飲んでたとき、隣に来た男が「私、婚約者いる」って言ったら、同じようなコト言って逃げた。 和人 俺は逃げないよ! 桐子 そうよね。 和人 ああ。 桐子 大丈夫よ。お父さんだって耳はあるもの、きっと言えば分かってくれるよ。 和人 そうかなあ・・・。 桐子 多分。 そこへ廉治の声が響き、戻ってくる 廉治 全く、何処に隠れてるんだ!?あ!! 廉治 二人を見つけ詰め寄る 廉治 みつけたぞ!! 桐子 あ!! 和人 うわっ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・・ 廉治 さあ、帰るぞ! 廉治 桐子に近づいてくる 和人 桐子を抱え、ナイフを廉治にかざす 和人 近寄るな!! 桐子 え!? 廉治 おい!やめろ!! 和人 近づくな!それ以上近づいたら、俺が死んで、桐子も殺すぞ!! 廉治 まあ、落ち着けって! 桐子 本気? 廉治 ああ。桐子と結婚できないのならココで死んで桐子も殺す!! そこへぜーぜーと息を切らしながら雅史 やってくる 雅史 お父さん、早いですよ・・・。 雅史 桐子を見つける 雅史 あ!いた!いたじゃないですか!よかったぁ!じゃあ早く戻りましょう、お母様が待ってますから!! 桐子 あんたは、状況ってのが目に入ってないの!? 雅史 状況?? 雅史 和人のナイフに気付き腰をぬかす 雅史 あわわわわわ・・・・な、何ですか?そいつは!? 和人 俺が本当の婚約者だ!! 雅史 え?な、何言ってるんですか?桐子さんは私と・・・ですよねえ?お父さん。 廉治 ああ、そうだ。間違いない。 和人 でも、それを桐子さんは認めてないじゃないか!!だろ!? 桐子 ええ、そんな人と結婚するくらいなら、私もここで死ぬわ! 廉治 何を馬鹿なコトを・・・。おまえ自分で何言ってるか分かってるのか? 桐子 分かってるわよ! 廉治 何で、急にそんなコト言い出すんだ! 桐子 急にじゃないわよ!お父さんがいつも私の話を聞いてなかっただけでしょ! 廉治 親の言うコトは、ただ黙って「はい」って言ってりゃいいんだ! 桐子 いつの時代よ!今は平成よ!頭の中、昭和初期で止まっちゃってるんじゃないの!? つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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