ぼうず ん?この人・・・。
おっさん な?見たことあるだろ?そう思ったんだよ。なんだ、俺、男の顔も記憶できんじゃん!!
ぼうず この人・・・さっきの女の人と逃げた奴じゃない?
おっさん ええー?1人で逃げたんじゃなかったっけ?
ぼうず ほら、あとから追いかけるように出てったさあ・・・
おっさん あの時は・・・あの子の残り香を楽しんでたから知らない!
ぼうず 変態!!とにかく、きっとそうだよ。で、生きてるの?
おっさん ちょっと待て。
おっさん 和人を揺り起こす
和人 意識を取り戻す
和人 ん、んんー。
ぼうず あ、生きてた!
おっさん どうした!
和人 騙されて・・・
おっさん 騙されて?で、あの子はどうした!?
和人 ・・・あ・・の子・・?
おっさん ああ、おまえと一緒に逃げた。
和人 捕まった・・・。
おっさん 捕まっただと!?あの親父にか!?
和人 いや・・・あれは・・・
おっさん あれは・・・なんだ!?
和人 あれは・・・うっ!
ぼうず もう、喋らせない方がいいんじゃないの?
おっさん いや、大丈夫だ!言え!誰に捕まった!
ぼうず おっさん!もうやばいって!死んじゃうよ!
おっさん それはない。
ぼうず どうして!
おっさん だってこいつ刺されてないもん。
和人 ええー!?
和人 驚いて自分の腹をさすっている
おっさん 血だって出てないし。
ぼうず はぁ?じゃあなんで倒れてるんだよ!?
和人 さあ?てっきり死んだモノだとばっかり・・・
おっさん おまえ、誰にやられたんだ?
和人 いや、誰に?っていうか・・・
おっさん ていうか何だよ?・・・ん?さては、物凄く弱っちそうな奴にやられたな?おまえ、弱そうだし。
和人 そんな事無い!俺だってやる時はやるよ!こう見えても空手やってたんだからな!
おっさん マジ?
和人 ああ!
おっさん じゃあ、どんな奴だよ。おまえを気絶させて、彼女を連れ去ったのは!
和人 あれは・・・
おっさん あれは?
和人 身長・・・2メーター・・・?
おっさん 2メーター!?
ぼうず そんなキャラ何処にも出てきてないじゃんよ!
和人 体もがっちりしてて・・・
おっさん がっちり?
ぼうず ってことは、あの親父さんとは正反対だな。
おっさん だな。あの人はどう見ても口ばっかり達者で腕っぷしはからっきしってタイプだもんな。
ぼうず そうそう。
和人 え!?
おっさん 知らなかったの?
和人 ええ。全然。
ぼうず まあ、ああいうタイプはさあ、酒飲むと強気になってナイフ持った暴漢相手に戦って倒したとか言いたがるんだよ。
おっさん そうそう。
ぼうず でも何でか女の子は、そういう嘘を信じちゃうんだよねえ。
おっさん そうそう!俺たちの方が強いっての!
ぼうず そうそう。
和人 お二人は何かやってらっしゃるんですか?
ぼうず 俺たち?いや、特別何もやってないけど・・・仕事でね。
和人 お仕事?
ぼうず そうそう。血の気の多い現場作業員を取りまとめてる。
おっさん 毎日喧嘩ばっかりだよ。ウチの現場監督が、また腰抜けだからさあ・・・俺たちのトコにとばっちりが来て、なあ?
ぼうず そうそれに、このおっさんは1トン近いユンボを支えるからね。一人で。
おっさん あったな、そんなコト。
和人 1トン!?
ぼうず そう。
おっさん あれはビビッたね、流石に。地盤がゆるくてさ、動かそうとしたら俺の方に倒れてきやがるから・・・
和人 はあ・・・
おっさん でも、俺は空手とかやってた訳じゃないから、おまえには敵わないよ、きっと。
和人 そ、そんな・・・
おっさん で?どんな奴にやられたって?
和人 え?えっと・・・と、とにかく、化け物のような奴でした!
つづく
音楽好きなら……