和成 そんなに痛いの?
恵美 うん。でも痛いっていうか、痺れてる。
和成 大丈夫かよ。しょうがないなあ・・・食べさせてあげよう。
恵美 いいわよ!
和成 恥ずかしがるなよ。
恵美 恥ずかしいわよ。
和成 別に誰に見られてる訳でもないんだから。
恵美 見られてる、見られてる。
和成 誰に?
恵美 ほら。
恵美 振り返って、壁に掛かっている「青いターバンの少女」を指差す
和成 絵じゃん。
恵美 でも、今、目が合ってるもん。
和成 それは、何処から見ても目が合うの。
恵美 嘘!?
恵美 体を動かして色々なところから絵を見てみる
恵美 本当だ!気持ち悪い!!のろわれてる!
和成 ・・・そういうモンなの。
恵美 ・・・そうなの?
和成 そうなの。いいから食え!
和成 強引にスプーンを恵美の口に押し込む
恵美 渋々シチューを食べる
和成 どう?
恵美 ん?・・・んまい。
和成 だろ?
恵美 ご飯って凄いね。ご飯最高!!日本人最高!!
和成 ・・・ご飯が美味いのは米のおかげだけどね。
恵美 次!
和成 は?
恵美 つ・ぎ!!
和成 何が?
恵美 食べ終わったの!!
和成 あ、ああ・・・。
和成 シチューを恵美に食べさせる
和成 血は止まったの?
恵美 ん?
和成 手!
恵美 んっと・・・
恵美 手をみてみる
恵美 全然止まらない・・・
和成 え?
和成 恵美の手を取り見てみる
和成 ちゃんとおさえてたのか?
恵美 おさえてたよ。
和成 ちょっくら病院に行ってみるか?
恵美 ええ!ただ指切っただけだよ?
和成 でも、血が止まらないじゃないかよ!
恵美 もう、夜だよ?
和成 別に、指切るのは昼間だって決まってないだろ?
恵美 そうだけど・・・。
和成 俺の流星号で行けばすぐだよ。
恵美 自転車に立派な名前つけないでよ。
和成 近くに、病院があるっていう利点は生かさないとな。さ、行くぞ!
恵美 うん・・・。
恵美 渋々従い立ち上がる
恵美、和成 上着を手に出て行く
しばらくたって2人戻ってくる
和成 気をつけないとな・・・。
恵美 うん・・・。
和成 テーブルの上の食事を見て
和成 冷めちゃったな・・・。
恵美 ・・・。
和成 あっためてくるよ。
和成 そう言うと食器を持ってキッチンへと向かう
和成 ああ、これからは俺が料理するから・・・
恵美 え?大丈夫だよ。
和成 いいから。
恵美 でも、本当に大丈夫だよ。ちゃんと気をつけるし・・・。
和成 気をつけてたって、怪我する時はするんだから・・・。
恵美 でも、そんなコト言ってたら何にもできなくなっちゃうよ・・・。
和成 そうだけど、避けられるコトは避けていった方がいいだろ?別にどうしても料理しなくちゃならないって訳じゃないんだから。
恵美 ・・・
和成 それに、先生も言ってたろ?多分一時的なものだろうって。大体、今までこんなことなかったんだろ?血小板が少ないなんてさ。
恵美 うん・・・。
和成 ま、明日、ちゃんと検査してもらって、何でもないって分かれば料理でもなんでもすればいいよ。でも、それまでは俺がやる。
恵美 うん・・・。
和成 きっと、平気だよ。
和成 そう言ってキッチンへと入っていく
恵美 ごめんね。
和成 あのさ、ごめんってのは悪いことをした時に言うもんだろ?
恵美 でも・・・
和成 何も、悪いことしてないのに謝る必要なんてないよ。
恵美 ・・・うん。
第4場 終了