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カテゴリ:読書
夕暮れをすぎて
夕暮れをすぎて モダン・ホラーの巨匠であるS・キングの短編集です。 キングの長編であるクージョや呪われた町を読んだ時、ほとんど徹夜で読みふけったことを思い出します・・・ あれから、えーっと?年(゜゜)\バキッ☆は過ぎまして。 手元に残しているキングのお話も、昔読んだ「クージョ」「ペットセメタリー」「呪われた町」「シャイニング」くらいしかありません。 キングの作品は、映画になった作品が多いので。 その映画を見たよと仰る方も多いと思います。 シャイニングなどは、ジャック・ニコルソンがドアの割れ目?からニターッと笑っている画像を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。 しかし。独特のキング節さえクリアすれば、絶対に原作の方が怖いです。 音と映像の「ばぁ!!!!」的な恐怖は、映画ならではでしょうけど・・ (キャリーのラストシーン・・お墓の中から手がぬぅ!!は、映画ならではのビックリドッキリです) 呪われた町では。 映画よりも(大好きだったデビッド・ソウル主演で映画があるんですな。死霊伝説と言う映画で、これはもうB級どころかC級かな?吸血鬼が青塗りオバケで、逆に大笑いしましたから・・)恐怖を味わわせてくれました。 普通に地下に降りていく階段。その途中、暗がりになる部分から下に落下するようになっていて。 その真下に、上向きに刃を向けた包丁がずらっと並んでいるところなんて。 うきゃああああ!ですよ。下手な恐怖映画よりも怖かった・・ むしろ、笑ってしまった死霊伝説の映画 キングの作品全てが好きと言うわけではありません。むしろ、ミザリーを過ぎたあたりから。 ちょっと離れていたところがありまして。 今回は、本当に久しぶり!!でした。 訳者の後書きを読んだなら、私が離れていた間に、いろいろな事があったんですね・・・ 序文と、ライナーノートと言うべきサンセット・ノートを含めずに7つの短編?が収録された文庫です。 ウィラ デイヴィッドと恋人のウィラ。脱線事故を起こした為、とある駅で次の電車待ちをしている。 しかし、ウィラは電車の到着を待たないで、町の飲み屋に行ってしまった。 彼女を迎えに行ったデイヴィッドは、気づきたくないある事実に気づいてしまう・・ ジンジャーブレッド・ガール エミリーは、ようやく授かった娘・エイミーを亡くしてしまった。 その悲しみから逃れる為、彼女は「走る」ことに魅了されてしまった。 父のバンガローを借りて、思うがままに走ることにしたのだが。 ほんのちょっとの好奇心?が、彼女にもたらした思わぬ災難とは??!! ハーヴィーの夢 ジャネットは、夫・ハーヴィーが見たと言う悪夢の話を聴くことにしたが・・・ パーキングエリア キング自身の体験を元にした短編。 パーキングエリアのトイレ。女性用トイレで、男が女を殴っているのが聞こえてきた時。 非力なダイクストラが取った行動とは・・ エアロバイク 脂肪の値が、かなり高いと言われた画家・シフキッツは、エアロバイクで運動する。 しかし、主治医のアドバイスが彼の創作意欲を刺激して、シフキッツは彼の体内浄化を担当している人々を想像してしまうのだった・・・ 彼らが残したもの わたしの部屋に、それらの品が出現した時。わたしは叫び声をあげた。 それは、あの日に燃え尽きてしまったはずの品だったからだ・・・ しかも、それらの品は夜になると、囁き声をもらすのだった。 その品の持ち主達が、思い出を語るのだ・・ 卒業の午後 ジャニスは、卒業式の午後を相棒(バディ)のブルースの家で過ごした。 パーティを抜け出した彼女が見たものは・・ 感想 彼らが残したものと卒業の午後は、明かに9・11の為に書かれた短編。 何かの映画?これは、特撮?と思った夜中の映像を思い出していました。 しかし。日本人の私の感覚では計り知れない打撃をアメリカ人であるキングは受けたに違いなく。 それを形にしたのが、この二つだと思うのです。 特に、彼らが残したもの・・では。主人公の「生存者の罪悪感」と、おそらく今なお深く残る当事者ならではの心の痛みが伝わってきて。 いろいろと考えてしまいます。 特に、遺品を届けた同僚の奥さんが。 ご主人が出勤していく時。 ご主人は頬にキスしてくれたのに。自分はベッドの中で片目だけ開けて、「あれを買ってきてね」と送り出してしまった・・・と涙にくれるシーンがあるのです。 買ってくるよ・・・と答えたのが、ご主人の最後の言葉。 もっとましな言葉をかけていれば良かった。でも、夫婦になってもう長いし。あの日もまったく普段通りの日に思えて・・・ どんな別れだって、永遠の別れになってもおかしくない。先がどうなるか、誰にもわからないの・・・ そういう事って、本当に特別な9/11でなくても。交通事故やいろいろ・・・身の回りにあるかもしれない・・ そう思うと、他人事ではなく。こう胸がぎゅっとなってしまうような思いがしました。 それ以外では。 お気に入り?は、やはり短編と呼ぶにはボリュームもあるジンジャーブレッド・ガール。 バンガローがある島にやってきた男。彼のトランクの中身を見てしまったがために引き起こされる主人公の悲劇。 そして、そこから逃れるための彼女の行動。 映像が頭に浮かんできて。まるで、「激突!」などの映画を見ている気分になってきます。 トップバッターのウィラも、ある意味ではいかにも!!キングらしい作品。 自分たちが死んだことに気が付かないふりをしている人々。 そして、ふと見える本当の姿。 それらが、フラッシュバックのように描かれる部分は。本当にある意味キングなんですね・・・ 今回は、あともう1つ。 ハーヴィーの夢も付け加えましょう。 お話とすると、あらら・・・と言う感じではありますが。 主人公であるジャネットが、ウィークデーの朝に起きてきた60歳になる夫の姿に。 ふと、老いると言うことを思うシーンが秀逸なんですよ。 朝の遅い日射しの中、スーツ姿ではなくラフな恰好のまま、だらしなく座っている夫。 その姿を見て思うシーンが、なんだかもうリアルでねぇ・・・ 久しぶりにキングを読んで。 あぁ・・・私は、この作家さんが好きだったよね・・・といろいろ思うところもありました。 このくらいの長さなら、飽きもせずに(゜゜)\バキッ☆楽しく読ませていただきました(^^)v お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年09月24日 22時59分03秒
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