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カテゴリ:読書
疵 スキャンダル 1~4
著:かわい有美子 イラスト:杜山まこ あらすじ・・ 大蔵省・高級官僚である桐原と司馬は、同期。 彼らの出世争いは。 旧財閥で、経済界に影響力を持つ家の婿養子に入った桐原が一歩先んじている状態だった。 しかし、思いもかけない挫折が桐原を襲う。 氷雨の夜、絶望していた桐原に手を差し伸べたのは。司馬だった。 感想・・・ あらすじは、全部書いてしまうと。 今から読むつもりだったのに~~と仰る方もいらっしゃるでしょうから。 敢えて一巻のみのあらすじとさせていただきました。 このお話を読んだのは、ドラマCDが出ると言う話があった時で。 4巻が出てすぐの事でした。 1巻を読み、すぐさま書店にあった残り3冊を買って帰ったのを記憶しています・・・ なので、えーっと2002年??(大笑) え?もう、そんなに経過した?(゜゜)\バキッ☆ 今でも多数読んでいるとは言えない状態の私ですが。 当時は、今よりもまだ免疫も少ないし(大笑) 私がBLに対して求めるものが、今とはかなり違っていたんですね・・・(^^; 上手く説明出来ないのですが。 男同士である意義(意味)が薄らぎ始め。 受けの容姿は髪の毛の長い・料理上手で可愛らしいタイプで。 女の子でも問題ないんじゃないの?と思える作品が多くなりつつありました。 BLなんだから、受けが女でも男でも問題ない・・と言うのはなぁ・・・ 少なくとも、男同士の恋愛に対して葛藤くらいは欲しいよなぁ~~ と思っていた時でした。 だからね・・・今みたいに沢山読んでないし、聞いてないし。 ハードル高いかもしれない?? 単に、甘甘で終わっちゃいました~~では、納得していない自分が居たわけです。 そして。これは小説に対しての私の持論なのですが。 お話と言うのは、起承転結で成り立っていて欲しい!と言うのがあります。 最近、転の部分が弱くて。なし崩し的なお話が増えてません?? 好きになったの~ だから、男でも、問題ないじゃん? 両思いになったから、二人はラブラビュ(゜゜)\バキッ☆に過ごしました~ ・・・それも良いさ・・それは大事な事さ・・・ たまには、何も考えずにライトな作品って読んだり聞いたりしたくなるもの! だけど、こう・・満たされないのよ!!! がっつり、いろいろ思いながら読んだり聞いたりしたいのさ!! そう思う事はありません? ネタバレになるかもしれませんが。 この疵シリーズ。 4部作で、見事に起承転結になっています。 1巻では、桐原の挫折と二人のなれそめを描き。 2巻では、司馬が保証人になって、借りた桐原の部屋での話とあれこれ・・ 3巻では、司馬の妻復縁によっての、二人の別れ(破局か?!) 4巻では、そんな二人がラブラブ(死語)になりましたよ~ と進んでいくわけです。 この起承転結っぷりが嬉しくて仕方ない!! ガツガツ、次を読みたくなってしまいます。 8年前は、可哀相な桐原の立場に同情して。 彼がなんとか幸せになりますように!と思って読んでいましたが。 今はねぇ・・・ 同情すべき部分はあるけれど。 君にも問題はあったんだから、仕方ないじゃない?と突き放して考えてしまいます。 妻を娶ると言うことは・・・ 奥さんだって、感情のある人間なのだから。 出世の道具として、大事にしていたら良いと言う物じゃないんだよ~~~ 君もさ・・相手の気持ちをわきまえずに酷いことをしていたね・・・って思えるのです。 当時は、男性目線で読めていた? そういう訳ではないでしょうが(大笑) ただ、桐原妻は。箱入り娘だったにしても。 普通?の感性の持ち主で。相手の立場にたって考えることが出来る人で良かったねぇ! 母性愛溢れる人物で良かったねぇ・・・・と心から思えます。 そう・・・ BLにしては、珍しく。 主人公二人を取り巻く女性の事も考えることが出来る!と言うのが。 この作品の一押しの理由かもしれません。 桐原妻が。4巻で桐原を抱きしめて涙をこぼすシーンでは。 母性愛に溢れる彼女が、桐原の妻で良かった・・・と思ってしまったのです。 そう・・桐原って、なんだかんだ言っていても。子供じゃん? エゴイストで、自分の事しか見えてなくて。 相手の立場に立って考えることすら出来ない。 自分本位な彼を導き、同士として復活させたのは、一重に桐原妻だからだと思うのです。 別に、桐原妻がスーパーウーマンなのではありません。 恋に恋して、自分が政略結婚に利用される立場だとか。そういう物があると言う事も理解していなかった彼女。 しかし、母親になる事で。彼女は、桐原にとっても母になったのではないかと思うのです。 ・・・4巻の名シーンに、桐原が娘を抱きしめて涙を流すシーンが挙げられると思いますが。 桐原妻は、この時の夫の態度に。全てを許してくれる訳ですから・・・ 彼女は、女と言うよりも母と言う存在だったと思えるわけです。 この桐原妻の対比が、司馬妻です。 司馬妻は、見栄えは良いものの。妻である事や、母親である事よりも。 一人の女としての矜持や愛され方を求めた一人となります。 そう・・彼女は、妻でも母でもなく。最後まで女を貫き通してくれたわけです。 我が儘で、女王様で。ブランド物には目がなく、自分を愛して欲しいだけの人。 そこに、司馬妻への嫌悪感や同情、或いは同感?も出てくる?? さて・・ ここで、話を戻して。 男同士であった意義や意味!を満たしてくれた作品だった事について語りましょう。 もしも!! 受けの桐原が、女性だったなら・・・ 例えて言うなら、一子相伝の秘技(゜゜)\バキッ☆を受け継ぐ一門に輿入れし。 男の子ないしは、とにかく子供を産む為に玉の輿に乗ったとした場合。 受胎能力がないと解ったなら、旦那の浮気を認めなさい! 愛人の子を自分の子として、愛情注いで育てなさい!になったかな? それとも、それ以前に有無を言わせず離縁されているはず(^^; しかも。出世の為、家に残るために男妾となる設定も。 桐原は男性でないといけません。 司馬との関係も、出世争いをしているからこそ生まれる確執があるのですから。 相手が司馬と言う男性じゃないと、生理的にも意味がないし・・(^^; 最初は、人間的にどうよ?の桐原も。 司馬と、妻と・・出会って、気づいていく過程で。 身分を振り返り。反省もし・・・そこから、ちょっとずつ変わっていきます。 そこまで、気づいていなかった事は・・どうかと思いますが。 意外に、出世コースを歩いている人なら。それも有り得る?と思ってしまうのが怖い。 桐原の人間としての成長過程(遅いってね・・(^^;)と、司馬との絡み。 感情の起伏が、これでもか!! いかにもありそう!な過程で、みっちりと描かれています。 下手に桐原に同調すると、鬱になってしまいそう・・・ 特に、2巻から3巻は。 重いよ~ 3巻なんて転だから! もう、どっちを向いても暗闇ばかり! 明るい材料はなくて、どうしましょう?? シャワーに打たれる桐原の絶望と。 息子と二人、明け方の公園でブランコに揺られる司馬のシーンは。 骨の髄まで冷えてきそうな感じがするほどです。 痛いし、寒いし重い・・・・(3巻は、覚悟してね) ただ、そこを抜けて4巻になると。 流石に高級官僚!! 彼らは、仕事面では見事なライバルとして。 これからも切磋琢磨して行くんだろうな・・・ 男同士として、競い合っていくんだろうな・・・ しかし、プライベートでは。 相手を思い遣り、包み込むことが出来るようになった桐原と。 そんな桐原の気持ちをくみ取れる司馬・・・・ 男同士ならではの、二人の空間・・・・ そんな優しいだけでなく、厳しさも含んだずっしりとした感動が待ち受けています。 今では、珍しくなった重厚級な作品かもしれませんが。 個人的には、やはり金字塔的存在ではないかと思っています。 また。冒頭に書きました通り。 ドラマCDにもなっております。 聖職者のような声だけど、透明な色気がある!と書かれている桐原には増谷さん。 男前で、包み込む司馬には小杉さん。 感想には出てきませんが。女ったらしで、司馬の親友の有賀には一条さん。 桐原を愛でる(大笑)スケベオヤジには宝亀さん! 超重低音なサウンドシネマを聞くことが出来るかと思います。 長文にお付き合いいただき、ありがとうございましたm(_ _)m お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年10月22日 23時06分44秒
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