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カテゴリ:読書
謎解きはディナーのあとで
東川篤哉:作 あらすじ 宝生麗子は、宝生グループの一人娘。正真正銘のお嬢様。 しかし、素直に花嫁修業をする気にもなれず。 かと言って、親の会社で腰掛け仕事をする気にもなれなかったため 選んだ仕事が公務員。しかも、刑事・・・ 上司は、有名自動車メーカーの御曹司である風祭警部。 誰でも解るような事を「大発見!」として騒ぐ彼と共に殺人現場へ赴くが。 その謎がなかなか解けない。 東京多摩地区国立署の名物コンビの手がけた事件の裏には。 麗子の執事・影山の推理があるのだった!! 感想 書き下ろしを含めて、短編が6つ。 事件の状況の話を聴いての推理と言う点では、ミス・マープルやネロ・ウルフを代表とする安楽椅子探偵ものの一種になるのかしらね。 それらのおかげもあって、違和感なく入り込むことが出来ると思います。 謎としては、そう複雑なものではありません。 一話目は、部屋の中央で死んでいた女性の履いていた編み上げブーツの謎。 二話目は、毒入りワインと停電の中の灯りの謎を解くもの 三話目は、薔薇のベッドで死んでいた女性の謎とは・・・ 四話目は、麗子の友人が殴打された現場は、密室だった・・ 五話目は、全裸で発見された男性が、死亡前に行動を共にしていた女性と犯人と思われる女性の身長の謎 六話目は、二階の窓に投げられたトロフィーと、消えたダイイングメッセージの謎 ただし・・その謎解きは、聞けば「ガッテン!」と手元のボタンを連打したくなってしまうものばかりです。 しかし!! この作品が、他とは違っての異彩を放つとしたなら。 探偵に語って聞かせるお嬢様と。 探偵である彼・影山の職業が大きく関係しています。 そう・・・影山は、麗子のお抱え運転手兼執事なのです。 お嬢様から電話があれば、リムジンでお迎えに参上し。 疲れたから、屋敷に戻るまでに1時間くらい適当に走り回って!と言う無茶な要求に応え。 「よろしいのですか、お嬢様?」と丁寧な口調を崩さない。 がっ!! ここがポイントなのですが。 殺人現場の状況を聴き。彼なりの推理が出来上がると。 彼は、主人であるお嬢様に暴言を吐くのです。 第一話では。 失礼ながらお嬢様 この程度の真相がお判りにならないとは、お嬢様はアホでいらっしゃいますか? それらの暴言に怒り心頭のお嬢様に あの・・・お怒りになられたのなら申し訳ございません、お嬢様 あの、わたくしなにしろ正直者でして・・・・と謝っているのは、第三話(大笑) なお悪いって!! しまいには、フフンと鼻で笑った挙げ句。 わたくし、チャンチャラおかしくて横っ腹が痛うございます(by六話)なんですものっ!!! 敬語で暴言って、す・・・凄すぎる! これらの暴言を吐く執事に。 麗子お嬢様も、お嬢様とは思えないほど口汚く(大笑)応戦しています。 彼が正しい結論を推理出来るのも。 現場で見てきた状況や、関係者の説明をきちんと話しているお嬢様のおかげだと 私などは思うのですが。 この二人のやりとりが、今までにないものを添えていると思います。 また。一般庶民から見たら、十分にブルジョア。 「僕の家の薔薇園は、この2倍はある」 しかし。麗子に言わせると。 「あたしの家の薔薇園はあんたの家の三倍はあるっつーの!」程度? 成金でもないのでしょうが、こう・・・金持ちぶりを披露してしまう上に。 見ただけで、誰でも解るような事しか言わないし。 「おじさん、馬鹿じゃないの?」と言った子供には、「小父さんじゃなく、お兄さんだ!」 ・・・・突っ込みはそこか?の憎めない風祭警部も忘れてはいけません・・・ 推理と言うよりも、コメディを読んでいる感覚でスルスルと読めてしまいます。 そうですねぇ・・ かなり偶発的な殺人もありますし。 動機によっては、殺人を犯すほどの事かな?と思ったりもしますが(大笑) 丹念に周辺を調査していけば、怨恨や過去の行動の線から見えてくる犯人もありそうです。 ただ。これは影山が話を聞いただけで、犯人を特定しないといけないので。 「関係者の事情聴取と周辺の聞き込みを五十回も百回も繰り返し、市民から善意で寄せられる 数百件にのぼる情報を吟味し・・・」 していく状況は、お嬢様がパス!!なのです。 軽く読めると言う点と、矛盾がなく描かれていると言うのはOKです。 また、犯人を決める手札は、全て読者の前に呈示されていると言うのもOKです。 お話の一つ一つは、そう長くはありませんし。 あまり深刻にならずに、読書を楽しむと言う点でもOKかと思います。 個人的に・・ 私は、勝手に脳内キャスティングして読むのが好きなのですが。 麗子さんを桑島さんで。影山を緑川さんで読んだなら。 まるで、続きがなかなか出ない某アニメ化されたお話みたいで楽しいですよね~~ そうすると・・風祭警部はどうしよう?やっぱり森川さん?? そして。 お話を全て読み終えたなら。この表紙をもう一度じっくりと眺めると。 きっと貴方も、お話を思い出して。ニンマリとしてしまう事間違いなしです。 (なので、アフィリの画像を大きめにしちゃいました!!) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年02月09日 22時04分27秒
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