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カテゴリ:読書
長い腕
【送料無料】長い腕 著:川崎草志 あらすじ ゲーム制作会社に勤める島汐路は、同僚がビルから転落死した姿を見て昏倒する。 その同僚がデスクサイドに飾っていたアニメキャラクターの人形と、 忌まわしい想い出しかない故郷で起きた殺人事件の加害者が持っていたストラップが、同じものだった。 最後に見かけた時、様子がおかしい事に気が付いていながら何もしなかった・何も出来なかった・・・ その思いが、「同じ人形を持っていたからと、なんだと言うの?単なる偶然でしょ?」に留まらせなかった。 故郷の殺人事件を検索した彼女は、出身地の殺人事件の割合が多い事にも気が付く。 携わっていたゲームの制作が一段落し、人生のリセットとして一度故郷に帰る事になった汐路は、ケイジロウが関わった事件を調べる事にするのだった。 感想 部屋が暗くなるのに気が付かずに読みふけりましたねぇ(^^; 不可思議な事件(無差別殺人と空港でのパニック事故)と来て、これらがどう繋がるのか?と見えない状態で始まるヒロインの日常。 その部分がゲーム制作会社の修羅場から始まる事もあり、日頃プレイしているゲームがこうして作られるの~~などの興味も含めて、ぐいぐい引き込まれます。 村一番の実力者の系譜に繋がる汐路は、その田舎を嫌い都会に飛び出した女性ですが 女性??と思えるほど、何にも執着していません。 読書が趣味なのに、段ボール一つにまとまるくらいの捨てきれない本だけを持ち 自分の痕跡を残さないような徹底的なまでの物を持たない生活。 引っ越し荷物は、車に収まるくらいの量(家具も電化製品もほとんどなし)。 それじゃ味気ないのでは?と思えるほど執着する物もない彼女は、私とは正反対の位置にいるようです。 そんな彼女が、捨てた故郷での殺人事件を追う事になります。 その殺人事件とは、仲の良かった女子中学生AがBを猟銃で殺害し、逃走していると言うもの。 加害者の少女が持っていたのが、劣悪なアニメのサブキャラ・ケイジロウのストラップ。 ケイジロウの人形を自分のパーティションに、百数十個も飾っていた同僚。 たまたま、二人が同じ人形を持っていたからとどうだと言うの? 単なる偶然じゃないの? と言いつつも、薄気味悪さを覚えて震える汐路は、姉のストーカーと戦い 閉鎖的な田舎の歪みに直面していきます。 少女達と親しかった祥一郎少年の助力(ここの件は多少祥一郎くんに同情します(^^;)を得て、加害者と被害者の少女が、同一人物によって踊らされていた事が判明。 鎌を持って現れる怪談話のキスケ・新しく加わった怪談の這いずり 屋内で娘のビー玉を取り上げて外に連れ出した父が、家に水の入ったホースを巻き付けた理由 それらが一つにまとまる時、積み重なった悪意の歪みと、歪みが生みだした狂気の全貌が明かになります。 事件導入の同僚と加害者の少女の共通点は、ぼんやりとしか描かれていませんが (おそらくは、ケイジロウへの依頼心が募った挙げ句に、ケイジロウ人形が増えて行ったのかな?くらいで)読み終わった時には、ケイジロウ人形についてよりももっと大きな謎 ヒロインの両親の死の真相や、大工・敬次郎の謎が明かされていく顛末に夢中になります。 そして、読んだ人は(おそらくは)思わず肩を抱きながら 「家の柱や天井、歪んでないよね?」と見上げてしまう事でしょう。 ヒロインの上司にあたる石丸が、何故そこまで?と言うロマンスに発展しそうなネタは 汐路が追求する勇気を持てないので、解明されずに終わりますが 20年近くを経て、やっと両親の所に戻ってくる事が出来た汐路にホッとします。 姉も、ストーカーから解放されて良い人を見つけられたみたいですし(^^)v さて!!声優さん好き~~なソミュラとしては、汐路がケイジロウを知るために アニメを見るシーンに「おぉお!!」となってしまいました。 以前の声優さんをLP それ以降・特にアニメ系の声優をEPと呼ぶゲーム会社の内情の説明のシーンに 「なるほど・・」と目を見張った事は、本筋とは関係ないのですが・・ まぁ、ちょっと興味を惹かれてしまいました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年03月26日 16時54分59秒
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