|
カテゴリ:水痘
「カチリ処方してください」
「フェノール入っているから注意してね」 「水痘の薬でしょう?」 「防腐剤です」 姉が2週間前に水痘にかかって「カチリ」を処方してもらった2才の男の子。水痘になって当科を受診しましたが、軟膏は持っているオイラックスでもレスタミンでも良いと言ったら、姉と同じカチリが欲しいと言われました。 水痘に意味もなく「風習」のように処方するカチリ(またはCZL)は、カルボール・チンク・リニメント(Carbol・Zinc・Liniment)の略です。より古くは石炭酸亜鉛華リニメント、正しくはフェノール亜鉛華リニメントと呼びます。 フェノールは医療用では殺菌消毒剤、一般的には防腐剤や工業原料として使用されます。 フェノールはベンゼン環(六角形の亀の子)にOHがくっついたもので、化学物質の基本構造です。アセトンと結合するとビスフェノールA、たくさん結合するとポリフェノールです。 フェノールは化学物質管理促進法(PRTR法:第一種指定化学物質354物質、第ニ種指定化学物質81物質)では第一種指定化学物質に指定され、1質量%以上含有する混合物はMSDS(Material Safety Data Sheet)の作成対象物質(通知対象物)となっております。ラット皮膚のLD50(50%致死量)は669mg/kgです。新生児でも臍帯をフェノール消毒して死亡した報告例などがあります。 その危険なフェノールを2%だけ酸化亜鉛に混ぜたものがフェノール亜鉛華リニメント(カチリ)です。 カチリの使用上の注意および禁忌は「びらん」「潰瘍」「結痂」「損傷皮膚および粘膜」です。 皮膚に塗る価値も意味もありませんが、毒多ぁも風習にあわせて意味もなく処方しております。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[水痘] カテゴリの最新記事
|