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カテゴリ:心臓・循環器・心電図
「心電図健診でひっかかりました」
「右脚ブロックは病気ではありません」 「右足と心臓が悪いのかと思いました」 「今年はお願い書付きですね」 健診の季節ですので、学校健診でひっかかった児がたくさん来ます。 心電図検診で「不完全右脚ブロック」でチェックを受けた児。今年は医師会の「学校心臓検診委員会」と「心電図解析委員会」連名のプリント「学校心電図検診異常者精密検査に際してのお願い」が1枚付いておりました。 「最近、この精査の結果、左室肥大、異常Q波、軸偏位等の心電図診断名のみで要管理とされる例が散見されます。これらの心電図異常につきましては、器質的心疾患の有無を検索していただき、それがなければ一般的には管理不要と考えられています。また不整脈でも不完全右脚ブロックは、心房中隔欠損等がないかどうかの検査(心エコー等)が必要ですが、もしこれらの疾患がなければ普通管理不要と考えられています。 心電図異常者に対する基礎疾患の見落としを少なくするとともに、特に、管理すべき心疾患がない児童・生徒に対する無用な過剰管理も避けていただきますよう、よろしくご配慮のほど、お願い申し上げます。」 ・・・要するに、不完全右脚ブロックは心電図所見ではあっても病気ではないということです。 右心房の洞結節から発した心臓収縮の電気刺激は、心房から心室に伝わって(刺激伝導系)神経が心室中隔にまたがるように二股に分かれます。 右心室に行く神経を右脚、左心室に行く神経を左脚と呼びます。普通は、右脚と左脚の伝導速度は同じですが、右側が遅いと右脚ブロック、左側が遅いと左脚ブロックと呼びます。 不完全右脚ブロックとは「心臓の右半分の電気の伝わり方が少しだけ遅いよ」という意味です。 12誘導心電図は、皮膚の電位を見ているだけです。心臓を直接見ているわけではありません。象に布をかぶせて、12人で12方向から鼻と耳と腹と脚と尾を触って12人で相談して「これは象だね」と話し合って決めているようなものです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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