僕のクリニックも開業して7年目になりました。長いような短いような複雑な感じです。Anti-agingを気取っていても、自分の老いには勝てないな、なんて思うときは無意味に長く仕事してきたと感じます。一方、名実ともに超一流を目指していたはずなのに、やっと1.5流かな、なんて落ち込むときは、まだまだ短い気もします。ただ、言えることは、医学生の6年間より、大学病院での勤務の10年間より、開業してからの6年間が、他に比べものにならないほどディープ?なものでした。
そのディープさとは、大げさに例えれば、3脚イスを底なし沼に置いて、そこに立っているようなものでしょうか。その1脚目は、美容外科医としての診療レベルです。その2脚目は、個人事業主としての経営素質です。そして、その3脚目は、院長としての統率力です。この3脚の上に常に立っていなければいけないのです。しかも3脚に同じように体重を与え、バランスよく立たなければ、イスは倒れ底なし沼に沈んでしまいます。もちろん、僕自身が既に絶対的に重すぎたら、バランスなど初めから取れるはずもなく、すぐに沈んでしまいます。おそらく、開業してからの僕の毎日は、このバランスをいかに上手に保つかにあったような気がします。そして、どれかの脚が折れない限り、たぶんこれからも、このバランス取りは続いていくのだろうと思います。
僕は、時々思います。経営を重視するあまり、患者さんに最善を尽くしていないのではないか。ほんとうにスタッフの能力を十分に発揮できる職場をめざしているか。しかし、いつも明確な答えが見つからないでいます。少なくても、ディープなイスの上で、スリムでいられるように常に努力することだけは心がけています。自分の重さで、クリニックが沈んでしまう事だけは避けたいからです。