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2006.03.05
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カテゴリ:たぶん,シュミ.
 初めて本物のプリンを食べた時期と、初めてナルニア国物語を読んだ時期は非常に近接していました。たぶん、8歳から9歳にかけてです。しかも、いかにも上流育ちのお嬢様風だった、お隣のおばさんが手作りされたカスタードプディング(当時近隣の主婦の間で流行っていたハウス食品の即席プリンではない)は、洋菓子店風の白い紙箱に入って、なぜか紫色の薄紙の上に茶色いカラメルソースを上にした状態(つまり型から出されたぷるぷる状態ですよ。)でぎっしりと並べられていたのでした。ポタポタと滴り落ちるバターとカラメルソースで指も口の周りもベタベタにして、両親と妹の四人で貪るように何個も何個も食べたのを憶えています。40年近い歳月を経た今でも、あのときのプリンを超えるものを口にしたことはありません。最高に美味しかった記憶の1つです。その数ヶ月後に転校したばかりの小学校の図書室で出会った「ライオンと魔女」の瀬田訳 。エドマンドが白い魔女にプリンをもらう場面。箱にぎっしり詰まったプリンを手づかみで貪り食らうエドマンドは、あのときのワタシにそっくりと思われました。ああ、あのおばさんもきっと同じ本を読んだところだったに違いないと、メチャクチャ感動しちゃったのでした。

 なのになのになのに、何度目かに読み返したときに訳者の解説文にあった一文にガアアアアアンとしました。曰く、原作では全く別のお菓子だったのだが、日本の子どもには馴染みがないのでわかりにくかろうと、思い切ってプリンと意訳した云々、なんじゃああ、そりゃあ?ひでええじゃんか!確かに、魔女の毛皮のマントにくるまれた中でプリンを何個も次々と手づかみで食らうとなると、あまりにもばばっちい。エドマンド自身の衣類にも証拠を残さずに済むわけがないし。プリンから出た汁のシミやニオイをピーターたちが見過ごすはずもない。この訳にはやはり無理がある。それにしても本当は一体どんなお菓子だったのだろうか?大人になってもこの疑問がずっとひっかかっていて、これが知りたいが故に原書を見つけたときには直ちに購入したのですよ。頁をめくってTurkish Delightという単語は見つけましたよ。でも、実体は不明のまま。イギリスに行ったときも見つけられず、その後もターキッシュディライトなるお菓子を味わう機会はないのです。そういうわけで、今回の映画ではここが一番見たかったのでした。でもスクリーンで見る限りでは、ベリー入りらしきゾルに粉砂糖をまぶしたような歯にネチャネチャとくっつきそうな、あの日のプリンとは似ても似つかぬシロモノ。あんなモンにたぶらかされたのは物資不足の第二次大戦下で、余程甘味に餓えていたせいに違いないです。可哀想なエドマンド!

 まあともかく、長年の謎が解明されたのはヨカッタ。でも、原作に出てくるその他の美味しそうなモノ(タムナスさんのお茶や、ビーバーさんとの夕食など)は省略されていて残念でした。ハリー・ポッターや指輪物語に比べると、ナルニア国物語には、7巻のどの巻にも本当に美味しそうなモノの記述がちりばめられているのですけどねえ。監督さんは食い意地がはってないヒトなのかなあ?(その分、原作からは想像しきれなかった厳しい時代背景や子どもたちの心理状態が丁寧に描かれており、エドマンドも単純に憎たらしいひねくれガキではなく、それぞれの子どもたちへの共感が湧いてくるという点では原作以上ともいえるかと思いました。戦闘シーンも迫力がありましたしね。是非とも、全巻映画化して欲しいところです。)






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Last updated  2006.03.09 00:24:56
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