お初天神 曽根崎心中
雨上がりの朝、近松門左衛門の『曽根崎心中』の舞台となった『お初天神』に寄ってみました。 お初天神の北側 場所は大阪市北区曽根崎2丁目です。JR大阪駅や阪急梅田駅、阪神梅田駅から歩いて7分くらいのビル街の中にあります。 近松門左衛門(1653~1725)は江戸時代前期の元禄期に活躍した歌舞伎や浄瑠璃の作者です。 中でも町人社会の義理と人情を描いた世話物というジャンルを創り出しました。曽根崎心中の上演は当時、大人気だったようです。実際に起きた事件をもとに創作されました。物語の最後は、叶わぬ恋に堕ちたお初と得兵衛が露天神の森で情死してしまいます。 奥の方にお初と得兵衛のブロンズ像がありました この神社は露天神社(つゆてんじんじゃ)という名前ですが、別名『お初天神』と呼ばれて大阪では親しまれています。 学問の神様として有名な菅原道真が大宰府に左遷に向かう途中にこの神社に立ち寄って、歌を詠みました。 露と散る 涙に袖は朽ちにけり 都のことを 想い出づれは 家族を残して都を離れつつある菅原道真の悔しい思いが、じんとくる歌ですね。この歌の文言により以後、露天神と呼ばれるようになりました。 そして近松門左衛門の人形浄瑠璃『曽根崎心中』の爆発的ヒットにより、露天神は『お初天神』とも地元では呼ばれるようになりました。 少し観察していると、二十歳代くらいの若い人たちが手を合わせてお参りしている姿が多かったのが意外でした。ビル街の只中にあって、とても地味な神社ですが、何故かほっと落ち着ける場所でもあります。歴史と文学を肌身に感じる気がしました。