<損害保険料>取り過ぎ100万件超か 医療、自動車でも
損害保険大手6社が、自動車保険や医療保険を含む個人向け保険商品のすべてを対象に、保険料の取り過ぎの調査を始めたことが4日、明らかになった。火災保険については、調査によりすでに保険料の取り過ぎが判明しているが、新たに地震保険でも見つかったことから、調査対象を全商品に拡大した。中小の損保も同調し、業界全体で来夏までに調査を終える予定。調査対象は業界で1億件以上にのぼり、「最終的な取り過ぎは100万件を超える恐れがある」(大手損保筋)という。保険金の不払いに続く大規模な問題に発展しそうだ。
損保大手6社は今年1月、火災保険を対象に保険料取り過ぎの調査を開始。全契約(約2000万件)の3~4割分が終わった3月末に、中間報告をまとめ、約11万件、約55億円の取り過ぎが判明した。損保各社は来年3月までに調査を終える方針だった。
しかし、火災保険の調査で、耐火性が高く割引対象となる2×4(ツーバイフォー)住宅について保険料取り過ぎの事例を調べていたところ、火災保険とセット販売の地震保険でも取り過ぎが多数見つかったという。
このため各社は、調査対象を拡大し、6月から自動車保険、8月から医療保険など第3分野保険でも調査に着手した。業界関係者によると、特に自動車保険は、「通勤用」や「レジャー用」など乗車目的別に細かく割引制度が設定されており、「ゴールド免許割引」など個人が申請して初めて割り引かれるものも多いため、保険料取り過ぎが発生している恐れがあるという。自動車保険の契約数は火災保険の4倍近い8000万件前後とみられ、件数、金額が膨れ上がる可能性が高い。契約数が膨大なため、損保各社はパート職員を増やすなど人員を確保して調査を進める。