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2007年08月06日
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カテゴリ:経済トピックス
金融界は警戒…「ゆうちょ銀」まで2カ月



■国債から株式・証券化商品へ 23年度には118兆円規模

 10月の郵政民営化まで残り2カ月と迫る中、180兆円超の郵便貯金を受け継ぐ巨大金融機関「ゆうちょ銀行」の誕生に、金融界の警戒感が高まっている。郵貯は国債などの安全資産で運用されたが、ゆうちょ発足後は運用対象を株式や証券化商品などに拡大する計画が示されたからだ。ゆうちょが運用資産を大幅に組み替えれば、その巨額の資金量から債券相場などに波風が立つ。巨大な「運用機関」の誕生に、市場は新たな波乱の種を抱えることになる。(本田誠)

 郵便貯金に預けられた資金は、平成13年4月までは全額が旧大蔵省(現財務省)に預託され、同省で運用された。だが、財政投融資改革で預託金制度が廃止されたことに伴い、同月以降は日本郵政公社(15年4月までは前身の郵政事業庁)の自主運用となっている。

 ただ、日本郵政公社法で安全運用が義務付けられたため、資金の7割は国債、1割弱が地方債・社債、残りが外国債券や地方自治体への貸付金などに向けられてきた。

 郵政民営化を控え、金融界が神経をとがらせるのは、民営化準備会社の日本郵政が4月末に公表した民営化後の実施計画のためだ。そこには安全資産に限っていた運用対象の自由化が盛り込まれていた。

 計画によると、これまで信託銀行に委託する場合だけ認められていた株式運用を自前でできるようにするほか、証券化商品や信託受益権なども投資対象に追加。「収益源の多様化」と「リスク分散」を狙う。金利スワップや金利先物などデリバティブ(金融派生商品)取引も活用し、金利リスクの回避を図る。ゆうちょは発足後、金融庁に認可申請し、認められ次第、運用対象を広げる方針だ。

 9月末まで定額貯金など定期性貯金として預け入れられた資金は、郵便貯金・簡易生命保険管理機構に承継され、同機構からゆうちょに特別貯金として再預託される仕組みとなっている。郵政民営化法は、この特別貯金残高分については安全資産での運用を定めた。


 実施計画では、10月の民営化時点の郵貯残高は約188兆円、うち特別貯金は133兆円の見通し。新たな運用対象に回せる資金は差額の55兆円程度にとどまる。しかし、同計画は23年度末には郵貯が約164兆円、特別貯金が46兆円に減少すると見込んでおり、安全資産以外での運用の余地は約118兆円にまで広がることになる。

 ゆうちょの資金運用計画に金融界は「ゆうちょが国債の保有割合を減らしていけば、国債の価格下落と長期金利の上昇に拍車がかかる」(大手銀行幹部)との懸念を強める。6月に開かれた財務省の国の債務管理の在り方に関する懇談会も「民営化の影響が大きいという心理が市場に働き、債券が買えなくなる」などと国債管理上の問題点を指摘した。巨額の資金が株式市場で動くことになれば、株式相場への影響も無視できない。

 全国銀行協会は「ゆうちょは顧客に個人向け国債を販売し、郵貯残高の圧縮につなげるべきだ」と訴えるが、郵政側は不安の残る資金運用のノウハウや人材確保に躍起だ。このため、ゆうちょが健全な市場の発展にどう影響するかに、市場の視線が集まっている。











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Last updated  2007年08月06日 07時17分26秒


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