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カテゴリ:経済トピックス
米FRBが公定歩合引き下げ:識者はこうみる
8月17日、米FRBはクレジットの流動性確保と世界的な市場の混乱を沈静化することを目的に公定歩合を0.5%ポイント引き下げ5.75%とした。写真は16日にニューヨークのウォールストリートで撮影 米連邦準備理事会(FRB)は17日、クレジットの流動性確保と世界的な市場の混乱を沈静化することを目的に、公定歩合を0.5%ポイント引き下げ5.75%とした。国内外の市場関係者のコメントは以下の通り。 ●積極的で意味ある行動 <グレイト・カンパニーズの共同最高経営責任者、ジム・ユゲー氏> 連邦準備理事会(FRB)としてはかなり積極的な動きだ。FRBが最近の金融セクターの動きに懸念していることは明らかだ。実際に公定歩合を引き下げるという措置を取ったことは、かなり意味がある。現在の問題がいかに深刻なものか考えさせるものだ。最初の時点では、問題があることは分かっていたがそれほどの大問題のようにはみえなかった。この措置によって、基調的に主要な問題があるのかどうかを考えさせられる。 ●市場に安心感、クレジット面の解決にならず <ドイツ証券 シニア為替ストラテジスト 深谷幸司氏> 今回の措置は、金融市場に対し一定の安心感を与えた。信用収縮リスクを回避する効果があると評価している。ただ、インターバンクのところで必要な措置を講じたというだけで、クレジット面で根本的な解決にはつながらない。これによって円キャリー取引が再び復活するというところまではいかない。日銀は22、23の両日開かれる金融政策決定会合で利上げは可能だが、見送るだろう。それについてどのように説明するかに注目している。 ●FRB苦渋の選択、日銀利上げ見送りへ <みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト 上野泰也氏> FRB(米連邦準備理事会)の苦渋の選択だったのだろう。金融政策はインフレ警戒を先のFOMC(米連邦公開市場委員会)でも示しており、FFレートを引き下げて急に方向転換した場合、市場の信認を失う可能性があった。また、FOMC内のタカ派を説得仕切れなかったのかもしれない。緊急利下げに踏み切れば、ECB(欧州中銀)の大量資金供給時のように、逆に疑心暗鬼を呼ぶ可能性もあり、その点の考慮した可能性もある。アナウンスメント効果を狙った面が大きいのではないか。今回、仮に利下げまでしても、市場の不安心理は払しょく仕切れなかった可能性が大きいと見ている。米国の公的部門が住宅ローンの買い取り枠を引き上げるとともに、ディスクロージャーを徹底して、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題の全体像を浮かび上がらせることが必要だ。 マーケットは、米株、為替とも株高/円安方向で反応しており、週明けの東京市場も小戻しする可能性がある。このFRBの対応で、日銀の8月利上げは、完全に見送りになったといえるだろう。 ●利下げしたくない意思表示 <UBS証券 チーフストラテジスト 道家 映二氏> FRB(米連邦準備理事会)がFFレートを下げず、公定歩合だけを引き下げたことは、利下げしたくない意思表示といえるだろう。金利の跳ね上がりを公定歩合の引き下げで対応しようとしたのだろう。この決定は正しいと思う。利下げしていれば、米市場のモラルハザードを助長していただろう。 ただ、今回の対応で、米市場を起点にした市場の不安定さは、収まらないだろう。17日の日本株の大幅な下げは、円高とヘッジファンドの換金売りが大きく影響したが、米株が戻れば、20日の東京株式市場は、いったんは小康状態になる可能性があるだろう。 ●FRBは市場安定に前向き、急速な円高に歯止めか <バンク・オブ・アメリカ 日本チーフエコノミスト 藤井知子氏> 米連邦準備理事会(FRB)の公定歩合引き下げは、最近の金融市場に対して、何もしないわけにはいかないというFRBの姿勢を示したものと言える。発表を受けて米株が反発しているが、市場はこれまでの流動性供給に満足せず、一段の対応を求めていただけに、今回の政策対応はいちおう成功だったと判断していいだろう。 ただ、この措置がサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題を完全に解決するとは考えづらい。市場にある程度の安心感を与える効果はあったという程度だろう。急速な円高進行の歯止めにはなるだろうが、株価動向などの様子をもう少し見たいところだ。 ●緊急利下げする可能性もある <みずほ総研 経済調査部シニアエコノミスト 吉田 健一郎氏> FRBが予想以上に足元の信用リスクへの懸念に踏み出した。公定歩合の利下げに踏み切ったことにより、次の一手、つまり緊急利下げを実施する可能性が出てきたのではないか。株式市場はこの措置を好感し、反転上昇する材料となるだろう。外為市場にとっては円安材料になる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007年08月20日 09時06分38秒
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