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2007年08月23日
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カテゴリ:経済トピックス
日銀決定会合、利上げは見送り:識者はこうみる



 日銀は金融政策決定会合で、現行の金融政策維持を賛成8・反対1の賛成多数で決定した。当面の金融市場調節方針は「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.5%前後で推移するよう促す」とした。反対は水野温氏委員。
市場関係者のコメントは以下の通り。
●当然の判断、月報や総裁会見待ち
 <日興シティグループ証券 シニアストラテジスト 勝智彦氏>
 水野日銀審議委員が反対したとはいえ、金融マーケットが不安定にある中、利上げ見送りは当然の判断だ。水野委員は株価が戻してきたこともあり、7月の会合で示した自分のスタンスを変えたくなかったのだろう。
 注目は日銀金融経済月報と福井日銀総裁会見。日銀がサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題を発端にした信用収縮をどうみているのかだ。米景気が腰折れするほどの住宅不況を見込んでいるのであれば、日本経済に対する影響について言及せざるを得ない。日銀の見解を受けて、円債市場は方向性を模索することになるのだろう。
●海外の不透明要因残り9月も利上げ困難
 <東海東京証券 債券ディーリング部長 有麻智之氏> 
 金融政策の維持に反対票が1票入っていることは、それなりの結果として受け止める。しかし、決定発表の後の金利市場の動きを見ると、まだ海外の不透明要因がいろいろ残っていると市場はみているのだろう。
 グローバルな金融市場の動揺はいったん和らいでいるが、米国の公定歩合の引き下げだけで市場が安定したのかはわからず、今後の利下げの可能性についてもまだわからない。今回の日銀の決定で「8月の利上げ見送りなら9月には実施」という思惑が強まることはありえるが、根底の問題はまだ片付いていないので、マーケットが世界的な落ち着きを取り戻すまでは債券市場は高値水準での推移となるのではないか。
 個人的には、9月の利上げは日取りが悪いため難しいと思っている。中間決算期末の直前のタイミングで、金融機関のバランスシートを崩すようなことは日銀はしたくないだろう。日銀が利上げに踏み切れるのは、10月以降だとみている。
●各国市場落ち着けば、9月利上げの可能性も
 <三菱UFJリサーチ&コンサルティング 主任研究員 小林真一郎氏>

 大方の予想通りの結果、常識的判断とみる。水野審議委員は反対したが、この局面で利上げをしないと、日銀は政策決定にさいして、景気や物価だけでなく株価もみていると市場にとられる可能性があったためではないか。そのことで、将来の政策決定の手足が縛られるリスクがあると判断したためではないか。
 ただ利上げを実際にしていれば、世界市場への影響が大きく、やはり冒すべきリスクではなかった。9月については、景気に大きな変化がなく、各国の金融市場が落ち着いていることを前提とすれば、利上げをしてもおかしくない。そのときは市場もそれを織り込んでくるだろう。
 しかし連邦準備理事会(FRB)などが利下げに踏み切るなら、日銀の利上げは難しくなろう。景気も過熱しておらず、インフレ圧力も小さく、利上げを焦る局面ではない。
●海外中銀動向がカギ、利上げ12月に後ずれ公算
 <モルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト 佐藤健裕氏>
 日銀は金融政策決定会合で現行の金融政策維持を賛成8・反対1の賛成多数で決定した。結果は市場予想の範囲内だ。9月に関しては引き続き不透明感が強く、個人的には利上げの可能性は乏しいと思っている。海外の中央銀行の動向がカギになるだろう。ECB(欧州中央銀行)の政策金利据え置きの可能性は後退しているが、米FRB(連邦準備理事会)が利下げをするか否かが残っているし、仮にFRBが緊急ミーティングを開かずに9月18日のFOMC(連邦公開市場委員会)まで引っ張った場合、結果が出るのが日本時間の19日未明なので18─19日の日銀金融政策決定会合で判断する時間がほとんどない。
 また、9月の決定会合の時期は日銀短観の発表が近づくので、短観を確認してから、という判断は当然あり得る。10月1日に発表される短観はあまりよくない見通しであるため、利上げは後ずれすると思われる。12月利上げを見込む根拠は、12月発表の短観が良ければという条件付きだが、企業業績は結構良い数字が出てくることが見込まれるため、12月短観は改善すると予想している







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Last updated  2007年08月23日 15時05分05秒


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