ソニー バイオ電池、実用へ一歩 世界初、ウォークマン駆動
ソニーは23日、お米やジャガイモなど植物に含まれるブドウ糖から電気を発生させる「バイオ電池」を開発、同電池の電源だけで携帯音楽プレーヤーを動かすことに成功したと発表した。実用の電気製品に使える形状と出力を備えたバイオ電池の開発・試作は世界で初めて。今回の成果はまだ基礎研究レベルで実用化の時期は未定だが、環境にやさしい“未来の電池”として今後が注目される。
試作したのは外形約4センチ角、容量約40ccのバイオ電池で、ボディー(筐体(きょうたい))には植物原料のバイオプラスチックを採用した。
酵素によるブドウ糖水溶液の「酸化分解(負極)」で電子と水素イオンを発生させ、自然拡散で取り込んだ電子・水素イオンと空気中の酸素から水を生成する「還元反応(正極)」によって発電する仕組み。
酸化還元の効率を高め、同時に反応を安定化する独自技術によって、世界最高となる最大約50ミリワットの出力性能を実現。この電池を4個直列接続した電池ユニットを使うと、各電池へのブドウ糖7ccの1回の充填(じゅうてん)で携帯音楽プレーヤーの「ウォークマン(メモリータイプ)」を数時間駆動できるという。
環境にやさしい次世代の小型電池では、すでに実用化済みの燃料電池や太陽電池の性能向上が有力視されている。これらに比べバイオ電池は現時点では、出力などの実用性能で大幅に劣る。
ただ、原材料や製造・廃棄工程を含めた環境性能は最も優れており、将来の実用化が期待されている。
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Last updated
2007年08月24日 10時50分20秒