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嘔吐112.

多くの眠れぬ夜の、多くの眠らぬ夜の果てに、僕は甘い、子宮の奥深くを擽るような、そんな夢を見た。ただ一人僕の中でたしかに存在する貴方は、この不確かに歪む僕を乱暴に引き寄せては、言葉語ることなくわたしを呼び起こす。

(そこにね、そのずっと奥にね、わたしはいるの。ねぇ知っているのでしょう、貴方)



相も変わらず同じ場所で同じ言葉を、そして同じ存在をなぞりながら、徐々にせかいへの色彩を欠かせていっております。けれどそれでも此処から逃げようとしないのは、僕が、わたしが、ことばを愛さざるを得ないのだと。ただひたすらにそう感じるから、なのです。この曇り霞む窓辺で、このあたたかな風に浚われて。わたしはわたしを蔑み、僕を滲ませてゆきましょう。



かねこまいは襤褸雑巾のように酷く惨めったらしい。ふっ、と沈んでは、でろんとまどろむ。彩色を失った眼の色は奥で紺碧を模り、そのもっと奥では黒銀を催し、揺らめく。けれど死んでいる眼とは対称的に、つめたい鈍い指先だけは、暗色としたこどくを秘め事のように一層彩ろうとする。そうだ。こいつが望んで止まないものは、いつだって人間的な対象であった。愛を呟けば、其れを跳ね返してくれるような。そんな獣とした遊戯を望んでいるのだった。

ああ、でたらめなわたしよ。

January 25, 2010
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カテゴリ:幻想即興曲
ぶち壊してしまいたくて、ぶち壊れてしまいそうで、未だ生殺したまま、冷蔵庫に眠らせている。もう貴方の心臓の音は聞こえない。愛したままの姿だけ保って、ゆっくり呼吸が崩れていく。だからもう、良いんだ。眠りましょう、柔らかに。おやすみなさい、もう流れる事がないように。




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Last updated  January 25, 2010 03:29:41 PM
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