日本型『ウェブ2.0』ビジネスの特質と,その事例!
~~~~ 編集長 土屋 憲太郎 ~~~~●こんにちは。すでにお読みになった方も多いことと思いますが、 4/19朝日・朝刊・連載『チェルノブイリ汚染大地20年(上)』、『 再生へ希望 菜種に人に』の記事は600万人が被曝したとされ る20年前のロシアの原発事故後の現実をテーマにしているの ですが、読後感がとてもさわやかでした。●(1)子どもの時に事故に会い、甲状腺の摘出手術を受けた 子らが成長して、小児科の医師などを目指していることや、 (2)汚染地に菜種や大豆がまかれ、その油がディーゼルエン ジン車の燃料に使われ始めていること―など、事故現場や人 間の暮らしが再生する力強い姿にも触れていて、希望が持て る良い記事でした。●本日はまず最初に、『日本型「ウェブ2.0」ビジネスの特質と、 その事例(その7)』として、顧客感動ならなんでもよいのかどう かを吟味したうえで、いくつかの先行事例・先進事例をご紹介 したいと思います。 ●そして、『タイ・ラオス・カンボジア歴訪の旅(旅日記2/5編)』 の抜粋をお届けしますので、ご笑覧いただければ幸いです。============================◆1.日本型『ウェブ2.0』ビジネスの特質と,その事例(その7)!============================●前号では、4/14日経流通新聞(MJ)1面の記事をベースに、 CGMからさらに一歩進めた、PGM(生活者が提供するメディア やコンテンツ)というEC研・独自の概念・理論を、わかりやすく提 唱させていただきました。●また、あまりにも一方的で主観的すぎる『心酔』ではなく、もっと 相対的で、より客観的な(並みのサービスとの無言の比較から 生まれる)『顧客感動』(カスタマー・デライト)に置き換えた方が よいことにも触れました。●それでは、『感動』であれば無条件によいと言えるのでしょうか。 芥川賞・受賞作家で鋭い書評でもよく知られている奥泉光さんは 3/14朝日・夕刊の書評の中で、骨子次のように述べています。 「(反面)感動しやすい人というのは、簡単に動かされてしまう人 である。(また)他人を操作しようと企む者の思う壷(つぼ)に、は まる人でもある」 「優れた文学作品は、人に感動を与えると同時に、簡単には感 動しない精神と、その程度で感動してたまるかという批評力を、 深くて大きな感動に触れることを通して、養うものものなのだ」― と。●独自の商品やサービスであれ、コンピューター・システムであれ、 自立し・成熟した生活者が参加する『ウェブ2.0』ビジネスは、上 記のような、深いレベルでの『顧客満足』、そして『顧客感動』をぜ ひ、目指して欲しいと思う次第です。●シックス・アパート(日本法人)社長の西信浩さん(2/7日経産業 新聞)によれば、(1)04年34億円だったブログ関連市場が、06 年には1377億円まで急成長すると総務省では予測している。(2) 注目しているのは企業内ブログで、同省は05年に120社が、また、 06年には600社が導入すると予測しているが、他社や市場の動 向を見てみるとさらに多くなるはずだ―と指摘しています。●4/5日経MJ紙の『マーケット仕掛人』によれば、化粧品の訪問 販売が中心のノエビア(同営業部の野田真由美さん)は、訪問 販売員さんが個別に管理・運営するブログがすでに1500に達し ていて、新規顧客の開拓や、既存顧客との密な関係の構築に も威力を発揮しているとのこと。●1/30の日経MJ紙によれば、ケータイ向けのサイト構築・運営 のゆめみとその子会社のSweetは、ケータイブログサイトを活 用して、飲食店や小売店が無料で使える販売促進ツール『Sw eetブログ』を開発。広告ビジネスを収益源にする方針とのこと。●4/17の日経MJ紙によれば、資格取得や人材派遣のヒューマ ンホールディングスは、講師と生徒(約2万人)が参加するSNS を採用し運営。授業後の補修や情報交換に活用。SNSは質問 や回答を参加者全員で共有できる利点などがあるとのこと。●上記のような記事や文献、実施案件は激増しており、枚挙に暇 (いとま)がないような状況です。EC研ではすでに、独自の判断 基準に沿った、『日本流の参加型『ウェブ2.0』ビジネスの先進 ・先行・成功事例100選リスト(上巻・下巻)』の制作に着手してお り、近く発売できる見込みです。●上記リストの価格は、(1)法人会員さん向けで1万円(各巻)、 (2)個人会員さん向けで2万円(各巻)、(3)非会員さん向けで 3万円(各巻)を予定しています。●次号以降で、その概要をご紹介できるように努めますので、ど うぞお楽しみに・・・。 ============================◆2.私的報告『タイ・ラオス・カンボジア歴訪の旅(旅日記2/5編)』============================●2/5(日)5時起床。8時にビエンチャンの空港に到着。空港で、 ベトナム・ホーチミン市で日本語のガイドや通訳をしているチュン さん親子(3世代・4人)と偶然に一緒になる。●チュンさんの奥さんは日本の素敵な女性で、ゆったりとした優雅 な身のこなしが印象的。奥さんのお父さんは大阪の人で、工業用 のゴム会社の会長さん。60歳の時に息子さんに社長の座を譲り、 休暇中の今は、お孫(娘)さんと楽しそうに遊んでいる。●カンボジアの首都プノンペンの宿にはお昼ごろに到着。いつもの ように貸し自転車を利用してプノンペンの街を縦横に走り回る。食 堂もスーパーも文房具店も、みな価格がドル表示だ。返還前の沖 縄のような気がして、少しばかり戸惑(とまど)う。●プノンペンの初印象は『小さなインド、小さな混沌の渦(うず)』だ。 思っていたよりも活気が凄(すご)い。十倍も百倍も凄い。堀田善 衛さんの本、『広場の孤独』ではないが、全員が「生きたい。生き たい、生きたい」と叫んでいる。絶叫している。主張している。●大通りを自転車で普通に走るには身の危険を感じる。スピード を早足程度まで落として、前後左右に斜めを入れて、それこそ 四方・八方に気を配りながらでなければ、危なくて走れない。●交差点を渡る時が特に大変だ。信号に従って、慎重に渡って行 くのだが、無秩序に近い混沌・混雑・混乱・雑踏の渦の中に、すぐ に巻き込まれてしまい。身も心(神経)もヘトヘトになる。こんなに 難儀するのは、初めてインドを訪問したとき以来のことかも知れ ないと思う。●夕方まで動き回って体力・気力をすっかり消耗。「負け惜しみ」 かも知れないが、しかし、絶望に沈む、疲れ切ったプノンよりも、 全員が「生きたい。生きたい、生きたい」と叫んでいる。絶叫し ている。主張している。そうした生身のプノンの方がまだましだ。●プノンの街の厳しい現実に、自分自身の体力や気力が本当に ついていけるかどうか不安があるが、けして嫌いではない。