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2023.09.22
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「ベル…… お前との婚約は破棄させてくれ……」

 俺は彼女に対し思いっきり悲痛な顔を作ってそう言った。

「え、何故、何故なのですか?」
「実は俺には重大な病気があるんだ…… 心変わりという……」

 そう、他に好きな女ができたのだ。
 えっ、とベルは涙を浮かべて俺を見た。判ってくれたのか、それならいい。
 ――とばかりに背を向けた俺の肩をむんずと掴み、彼女は「お待ちを」と涙目のまま近くに居た従者を手招き、馬車を呼ばせた。
 そして有無を言わせずその中に放り込んだ。
 行き先は病院だった。

「先生! 婚約者が病気なのです! 心が変わってしまうという……!」
「ほぉ。それはそれは大変ですな。詳しく調べてみましょう」
「お願いします」

 さてそこから俺は大変なことになった。
 何せベルが連れていったのは、最新の医療技術を誇る病院。すなわち、新たな技術を試したくて試したくて仕方がないところだった。
 俺は強制的に入院させられ、「最新の」医療を試された。

 なお、その時本当の「心変わり」、つまりは単に別に付き合い始めた相手は、俺のその状態を聞いたら恐ろしいことに巻き込まれているとばかりに逃げていったそうだ。

 そして俺はまだ病院にいる。





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最終更新日  2023.09.22 20:54:35
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