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「クラーラ…… 君との結婚はどうしても無理だ…… 婚約は破棄して欲しい」 「何故…… 何故なのカール!」 悲痛な顔の令息。すがる令嬢。 場所は風光明媚な山の展望台。そこは彼等の思い出の場所だ。 「そうよ、今さら何ですかカール様っ!」 そしてもう一人。 背後には、足の悪い令嬢クラーラの車椅子を押す、幼い頃からの友、アデルハイドが。 「ええ知っていますわ、カール様! お嬢様がこの様なお体ということで、ご家族が反対なさったのですね! でも、そんなのはずるいではないですか!」 車椅子に輪止めを掛けると、アデルハイドはカールの側にずずずい、と近づいた。 「あなたの愛というのはその程度のものだったのですか?!」 「え…… ちょっと待って」 カールに詰め寄るアデルハイドの足はどんどん展望台の柵の方へと近づいていく。 元々高所恐怖症気味のカールは柵の外のことを考えるとぞっとする。 だが山育ちのアデルハイドにはそんなことは関係ない。 「クラーラがどれだけ貴方のことをっ!」 「わ、ちょ、ちょっと……!」 あまりの迫力に、柵についたカールの後ろ手は、握ろうとしてその力を逃してしまった。 「あ」 後には悲鳴一つ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.10.07 00:00:37
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