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「今の今まで父上の御命令だから従ってきたが、ドルヘン、貴様の様にがさつで淑女らしく無い女は懲り懲りだ! 私は真の愛を見つけた!」 パーティの場、そう言って第二王子マクシミリアンは儚げな少女を手に、正装をしたドルヘンに向かい言い放った。 すると彼女はこう一言。 「本気か?」 「そうだ。しかも姓も無い平民の女と…… 父上は何をお考えに」 そう言った瞬間だった。 ドルヘンは懐に隠した短刀を一つ彼に向かって投げ、自身も取り出した。 「取れ」 「え」 「我が部族では神聖なる婚約解消の際には双方血の決着がある。取れ」 「何を言ってる」 「取らねば行くぞ」 次の瞬間、マクシミリアンの首から血が飛んだ。血を浴びた少女は叫んだ。 「王よ、して、其方はどうする?」 短刀を納めたドルヘンは、ざわめきの中やってきた父王に問いかけた。 「馬鹿な息子で申し訳ない…… 相手を第一王子に変えて貰えないか」 「よかろう。上の兄弟なら我が父も了承するだろう」 父王は思う。 小国の我が国に、草原の覇者である大国から降嫁してきた公主のことを何も知らなかったとは。 息子一人で済めばいい。 姓が無いのが王族の印だと知らない馬鹿息子一人でこの国が保護されるならば、と。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.10.07 00:03:50
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