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テーマ:科学・テクノロジー(184)
カテゴリ:雑学
近年、バイオテクノロジーの分野では万能細胞(ES細胞)なるものが注目されています。
万能細胞の力は医学を飛躍的に進歩させる可能性があると考えられているのですが、「なんじゃそりゃ」という方も多いと思うので、ちょっと解説しておきましょう。 もともと生物の体は、小さな細胞が集まって出来ています。 そして一つ一つの細胞には完全な遺伝子の情報、つまりその生物の体の設計図が含まれているので、理論的には一つの細胞からでも、元の生物のコピー(いわゆるクローン)造ることが出来るはずなのです。 実際に植物の場合などは、葉っぱの本のちょっとの切れ端からでも、きちんとした培養液と環境を用意してやれば、元の植物を再生させる事は難しくありません。 しかし、人間のように複雑な生物になると、これがなかなかうまくいきません。 体の各組織がそれぞれ限定された役割しか果たしていないので、例えば皮膚の細胞はいくら培養しても皮膚の細胞にしかならないし、髪の毛を生やす細胞なら延々と髪の毛を生やすだけ・・・といった具合なのです。 しかし、万能細胞はその名のとおり「何にでもなれる細胞」なので、うまくコントロールしてやればどんな組織にでも成長させる事ができます。 例えば重い心臓病にかかってしまっても、現在のように他人から移植用の心臓を提供してもらう必要はありません。自分の皮膚細胞などから新しい心臓を「再生」して、自分の体に戻せばOKです。 しかも自分の細胞で出来た心臓ですから、拒絶反応もありません。 事故などで指や腕を失った人はその部分を再生、顔に酷い火傷を負ってしまった人は顔面を丸ごと再生・・・ということも理論的には可能です。 クローン人間が造られてしまったりすると人道的な問題も出てきますが、使い方を間違えなければその可能性は無限大と言えるでしょう。 スポーツ医学の分野でも、怪我で損傷した組織などを再生する事で、今まで競技生命を断たれていた選手を復活させたり、回復までの期間を大幅に短縮させることが可能になるでしょう。 もしかしたら、シリコンではなく本当に収縮する人工筋肉を本人の細胞から合成・移植して、自己移植マッチョを造ることだって出来るようになるかもしれませんよ(笑) →人気blogランキングへはこちら お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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