テーマ:妊婦さん集まれ~!!(4771)
カテゴリ:Life style
2005年が終わるにあたり、最後に起こったこの出来事を書かずには年を越せない。
―――それは突然やってきた。 嫁『ねぇ起きて・・・破水した・・・かも』 30日午前五時。 慌てて病院へ電話をし状況を話し車に飛び乗った。 10分おきにやってくる陣痛はまだ比較的軽い。 とりあえず、そのまま入院することになった。 長期戦に備え、私は一度帰宅。 仮眠を取り昼過ぎに再度病院へ。 その頃から徐々に陣痛は3~5分おきになっていった。 陣痛の時間も長く、そしてキツくなっていくにしたがい、嫁のうなり声も大きくなっていく。 横について腰を押したり、擦ったりが数時間続いた。 医者の話では、骨盤に降りている赤ちゃんが苦しみ始めているという。 原因は不明だが、ここで初めて『帝王切開』というコトバが医者の口をついて出た。 私も嫁にも緊張が走る。 『もう少し様子を見て・・・赤ちゃんの命を優先させましょう。 両方の準備をしておいて下さい』 看護士さん達が慌ただしく動き回る。 嫁の戦いが始まった。 襲いくる激痛に思わず身体に力が入る。 その体の硬直は子宮の収縮へとつながり赤ちゃんを押し出そうとする。 子宮が開ききっていない段階で赤ちゃんを押し出そうとすると赤ちゃんに負担がかかる。 嫁は激痛を呼吸で逃がそうとする。 私は横について嫁が呼吸だけに集中できるように共に大きく深呼吸を繰り返す。 この状態がどのくらい続いただろうか。 『よし!なんとか切らんといけそうや。 もう少し頑張れ!!』 看護士さんが降りてくる赤ちゃんを抑えながらの持久戦。 『よっしゃ、もう出してやろう。 次の陣痛でイキむぞ』 病室に嫁のうなり声が響く。 横に立つ私の位置からも子宮が大きく迫り出しているのが見てとれた。 ・・・すると 3回目のイキみで赤ちゃんの頭がにゅっと出てきた。 頭が出ると、するすると体が出てきた。 出てきた赤ちゃんの首にへその緒が奇妙に絡まっている。 苦しんでいたのはこのためであったようだ。 複雑に絡まったへその緒は、さながら中尾彬の様である。 中尾巻きを外すと、元気な声で泣き始めた。 私も嫁も感動で言葉が出ない。 『えらいぞ。頑張ったな・・』 言葉を搾り出す。 2005年12月30日 午後10時52分 喜びの報告に携帯電話を握り締めて病院の外へ出る。 星の瞬く夜空が、しんと静まり返った街が、違う景色に見える。 『産まれてきてくれて、ありがとう。。。』 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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