007カジノ・ロワイヤル
こんな映画を観た。シリーズ21作目。スピルバーグの「ミュンヘン」でもスパイ的な役回りを演じていたダニエル・クレイグが、6代目のジェームズ・ボンドとして登場。監督は「007ゴールデンアイ」も担当した経験のあるマーティン・キャンベル。撮影当初は、なかなかボンドガールが決まらなかったり、ファンに「金髪のボンドなんかいらん!」とネットで攻撃されてりして散々だった今作ですが、ふたを開けてみると、シリーズ中でもかなりレベルの高い娯楽作に仕上がってました。なにより、007になったばかりの初期のジャームズ・ボンドを描くことで、何故、彼があの「プレイボーイ・キャラ」になったのかという「謎」を解明することに成功。いわばこの作品は、ダースベイダーの誕生を描いた「スターウォーズ1,2,3」と同じ位置づけの作品なのです。確かに、このシリーズの男尊女卑的側面は、小説版007の誕生した60年代では当たり前だったとしても、冷戦が終了し、女性が社会的に大きな役割を得るようになった21世紀では、時代錯誤的に思われても仕方ありません。女性ファンが映画のヒットの成否を握る昨今のマーケット状況では、ジャームズ・ボンドのキャラを修正せざるを得ないという裏事情があったのです。今回は、アカデミー賞受賞のポール・ハギス(「クラッシュ」「父親たちの星条旗」)が脚本に参加していることもあって、キャラ造詣の奥深さやお洒落なセリフの応酬など、アクション以外にも見所の多い作品となっています。とにかくラストのセリフが素敵。(シリーズのファンならこのセリフが出てきてこその007ですから・・・・・・・詳しくは劇場で!)とにかくボンド映画のお約束に詳しい人ならニンマリするシーンが続出です。そういう意味では007ファンのための映画と言えるでしょう。当初、ナオミ・ワッツ、シャーリーズ・セロン、サンディ・ニュートン、アンジェリーナ・ジョリー、レイチェル・マクアダムス, ナターシャ・ヘンストリッジ、ジャシカ・シンプソン、スカーレット・ヨハンソンと様々な女優の名前が交渉のテーブルにあがったボンドガールは、「キングダム・オブ・ヘブン」「ルパン」のエヴァ・グリーンが演じております。ジャームズ・ボンドを「ヒーロー・ボンド」たらしめる重要な「運命の女」を好演。カジノでのセクシーな衣装とメイク、そして、ボンドだけにみせる素顔のかわいさという二面性を見事に演じています。(ソバカスがかわいいボンドガールなんて誰が予想したでしょう!)この映画で作り上げられた新しいボンド像を次の作品でどうするのか、また「プレイボーイキャラ」が復活するのか、それともリアルなボンド像を発展させていくのか、次のボンド映画は2008年の予定です。楽しみ!http://www.sonypictures.jp/movies/casinoroyale/ エイガドージョー・ドットコム