懐かしの将棋ゲームを攻略しよう:第54回 誰でもカンタン!渡辺明の詰将棋(1)
本シリーズは原則として対局をメインとした将棋ソフトを紹介しているのだが、今回紹介するのは2006年に発売された「誰でもカンタン!渡辺明の詰将棋」である。渡辺明名人は当時弱冠20歳で竜王位を獲得したばかりで、羽生世代の強豪と肩を並べる実力者として注目を集めていた。将棋ソフトとしては珍しく詰将棋のみ、しかも難解な詰将棋ではなく、3・5手詰めを中心に680問。商品として成立するのかの心配をよそに、結構好評だったようだ。DSの将棋ソフトがそもそも当時の将棋ソフトが強くなりすぎてついていけない層をうまく取り込もうとしたマーケティング戦略を取っていてAI将棋、東大将棋、激指と冠は付いていても強さは控えめでスーパーファミコンやプレーステーションソフトで将棋を楽しんでいた層にはちょうど良かったのである。短手数の詰将棋のみの将棋ソフトというのもそうしたDS購買層にはマッチしていたのだ。このソフトは級位者には特に向いていて、私がこのソフトの存在を知ったのは市の将棋大会で参加している子供がこのソフトでトレーニングしているのを目撃したからである。問題もレベル別にうまく配置されていて、10級、9級は20問づつ2組で20問一組の問題に正解するとその上の組に行き、8級からは20問x5組=100問の構成となっている。級の問題をすべて解くと、今度は卒業試験があり、10級、9級は3問、8級以降は5問しかも全問正解しないと上の級にいけないのである。これは結構厳しい。ただこれは習い事の級位認定に似たものがある。今朝、ようやく7級1組の問題を解き終わり、7級の卒業試験に何とか合格し、6級に昇級したのだが、5問連続間違えずに1回で解くのは相当きつい、とにかく間違えた問題を復習し、もぐらたたき式に全問正解を目指していく以外にない。ただ卒業問題に使われる問題はほぼ決まっているようなので、間違えた問題は解けるまで復讐すれば何とかなるのかもしれない。6級で挫折する人が多いのは6級の卒業試験に合格できない人が多いのだろう。そうなるとある程度まで行くとどうしても強い人がサポートしてあげないと最後まで到達できないのではないか。つまりこのソフトは自分が楽しむためというより、将棋ソフトで楽しんだ将棋ファンが自分の子供が将棋が強くなるようドリルとして買い与える教材のようなものかもしれない。