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テーマ:たわごと(26822)
カテゴリ:歴史
麻原の魅力が何だったかについても触れておかなければならないと思う。これを直に語り落とした人は殆ど出てこなかったし(それは世論が許さなかったからだ、かつメディアにおける情報規制による)、それでもなお続けている信者がいるという点で、いわゆる謎が重くのしかかっていた。 . 今では見いだせないが…と語り始めれば幾分気が紛れるだろう。 しかし、当時彼には、特有の臭覚のある人間にとって極めて魅力的に映っていたのだ。 それを僕は語ることを避けてきた。語れば助長する恐れもあったし、誤解も生じる事も避けられなかった。 . 彼を狂人とするのは、安易だった。そして俗物という判定も何も意味をなさない。それどころか性格分析でさえも、彼の企んだ事を思えば、納得ゆく分析が何も見いだせなかった。あるいはサイコパスだという分析も成り立つ。これは確かに有効な視点でもあったが、何かそれでもなお漏れいでるものがあり、むしろソシオパスとしての適性が見いだせたけれども、その点に落とし込んで心をなでおろすこともできない。 . 彼は<何かに>挑んでいた。 そして、その戦いに人々を巻き込んでいった。この劇場型の性格はいわゆる精神疾患のそれではないかとの見立てもでき、それを僕は否定しない。だが、彼が挑んでいる相手が抽象的にも巨大であり、大変なテーマを持ち合わせていることに、そのストーリーに皆嵌っていってしまったのだろう。 . まるで、放射能汚染を被った地球を救うために、遥か彼方のイスカンダルへゆくかのような…そんな誘いを彼はしていたのだ。 しかも、それが等身大で、目の前に現れ、弟子とななったならば、自分に語りかけてくるのである。 物語は、空想のものでなく、現実化してしまった。 . 巧みな言説はあっただろう…しかし、そうした言説においては、弟子たちも身に着けており、彼の説法への「だめだし」も上祐さんなどは結構していたのである。それを世間は知らない。あの屁理屈弁明で有名な上祐さんが、麻原に食ってかかって論争を挑む事もありながらの、それを超えたところに麻原はいた。 . 彼の説法という「講演」はNHKスペシャルのチームの方が今では一番詳しいだろう。秘蔵700本のテープを保管し、全部彼らは聴き終えたのだから、信者よりも詳しいかもしれない。 . 91年のある時期、五代エレメントのイニシエーションという催しがあった。 これは金額5万円で受けられるという、教団のイニシエーションでは破格の安さでうりなイベントだった。 . このイベントの内容は当時はもちろん秘儀とされていたが今では内容を明かせる。 グル・麻原に抱擁されるのである。 . たったこれだけのことだが、効果は絶大であり、縁が深まってしまうのである。 なぜか? それは、当時の信者たちは、ほとんど「この社会」からこぼれ落ちた人たちだったからだろう… 両親との不和、親族との希薄な縁、職場や学校での馴染めない人間関係…恋愛だってうまくいくものでもない…そんな悩みを抱えている「普通の人達」が、父親にも抱かれたことないのに、麻原に抱擁されるのである。 . まさにダイレクトな結びつきをさせる。 ここには教義の介入はない。超能力のプロパガンダも関係ない。 . ただ彼の抱擁の中に暖かさを感じていた人も多くいたという事実も、ここに記しておこう。 彼の謎は深まるばかりだが、この点、歴史に刻み込んでおこうと思う。 . . . Eili ...
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