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EiliPrivate~思索の森…奇蹟を求めて~

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2018年10月26日
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テーマ:愛しき人へ(903)
カテゴリ:歴史
『オウムからの帰還・外伝~ナルコで記憶を消された朋友~』
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カミーユ・クローデル
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この話は、とりわけ辛く、心を打つ話になります。
思い出せる話の中で、この悲劇は群を抜いています。
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サリン事件が外部に示された災難、悲劇だとするならば、
このナルコ、およびニュー・ナルコは、内部に示された災難、悲劇だったからです。
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彼は脱会後、奥さんと再会するのですが、彼女のことを覚えていなかったのです。。。
家族全員で出家したことすら、うっすらとしかないようで、僕の事も思い出してくれませんでした。
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奥さんは自力でお子さんを連れて教団脱出…
彼は、ナルコ、ニュー・ナルコ被験しており、薬物中毒の中、強制捜査後に警察の方々に救出される形で、出てきた人でした。
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脱会信者の集いの場で、彼は居心地が悪そうでした。
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印象は、生まれたばかりのような瞳をしていました。
この現世で出会う人も、皆新鮮で、建物の中に入るときも、周囲を眺め回し、人に声を掛けられるときにビクッとする。
そんな彼に、僕は、
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僕  :「やー、Nさんじゃないですか、出てこられたんですね…!」
と走り寄ると、彼は困ったような顔をして、
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N さん:「すみません…どなたですか…」
N さん:「ごめんなさい、本当に記憶がなくて、あなたは僕を知っているんですか?」
僕  :「何を言ってるんですか、同じ日に出家し、同じワークに就いていたじゃありませんか…」
奥さん:「ごめんなさい、○○さん、主人は、ナルコを受けていたので…」
僕  :「…」
奥さん:「私のことも、覚えていないんです…」
僕  :「え、...」(絶句)
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奥さんは、脱会後の彼のことをケアし、彼は見知らぬ女性に面倒を見てもらっているような印象で…
この二人の光景は、目に焼き付いています。
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冬のソナタで、主人公は事故で記憶をなくし、恋人は彼を知っている…が死んだものと思っていた。
そしてあまりにも似ている、似すぎている彼に、彼に違いないと直感し、彼に向かって、訴える。
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「どうして私のことを覚えていないの…!」
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こんな切ないドラマは無かったのだけれども…
それも超えちゃうほどの物語がここに内在していたんだ…
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奥さん:「私たちには子供が居るのね…」
奥さん:「子供の顔を見て、彼は少しづつ思い出してきているの…だから、ゆっくりと彼のペースでいさせてね」
奥さん:「○○さんのこと、覚えていないけど、傷つかないでね…」(絶句)
僕  :「あ、はい…」(絶句)
奥さん:「私の事は思い出してもらえるのかしら…」
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奥さんの切ない表情を、僕は間近で見てしまって…
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その後、彼は、どうしても昔のような記憶を戻すことができず、奥さんとは離婚することになった。
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その奥さんも不憫でならないけれども、その奥さんの心を射止めたのも、これまた僕の朋友で、話は複雑になるんだ。
これ以上は、紹介できない…
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.
Eili ...

<背景>
彼は、Nさんといって、僕と同じ日に上九に出家した人でした。
時は、1994年5月16日…僕はこの日、全てを捨てて出家し、上九の教団施設に訪れると、早速ワークを任命されます。
僕の最初のワークのユニットメンバーは、その日出家した3人で、僕、荒木君(あの有名な広報部長の荒木くんです、「A」主人公)、Nさんでした。僕たち3人は、ヴァジラ・ティクシュナ師(この人も有名な野田成人さんです)の元に連れて行かれ、コスモ・クリーナと呼ばれる毒ガス除去装置の製造のワークに就くことになりました。
Nさんには家族がおり、奥さんも息子さんも一緒に揃って出家されていました。
奥さんは看護婦、なのでクリシュナナンダ師(林郁夫)のいる治療省へ配属、彼は科学技術省でした。
彼もまた寡黙な人で、多くを語る人ではありませんでした。
皆楽しそうに出家したわけではなく、もう世界は終わるのだ…だから救済のために出家だ…という意識状態だったので、集い合う信者同士、それほど会話はしていません。
荒木くんも、本当に見たまんまの朴訥とした喋りのする青年でした。
三人共出家したてで、施設を見渡し、キョロキョロとしていたと思います。
ワークの後、寝場所が用意されていないこと、そもそも出家者は部屋もなく、布団もなく、そういう「寝る」という習慣自体もないことを知って三人共驚いたのを記憶しています。
そこらへんに雑魚寝ですか…
この騒音けたたましい工場の中で…僕と荒木くんはちょっと引き気味でしたが、Nさんは、なんかそうした境遇もすっと受け入れていたような印象があります。
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Eili ...





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最終更新日  2018年10月27日 01時09分37秒
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