清浄の草むら

当時映画で観たが、やはりあれは日本文化紹介映画に終始していた。
しかし、後半からなんだか雲行が怪しくなって、結局はハリウッドテイストなんだなと肩を落とす。
ちゃんちゃんの大円団で侍の権利（実質は魂みたいなもの）が守られてって…そんな感じ。
無理矢理アメリカ人に理解してもらうような演出ばかり目立つ。

これもまた仕方ない。
アメリカ人なりの努力と観察と学習の賜だ。そのくらいは認めてやろう。

それでなくとも、この映画の宣伝といい、アメリカに暗に「馬鹿にされている」のに、それに気付いていない観客は愚かである。

そのあと雨後の筍の如く日本テーマ映画が出で来るが、どれもぱっとしない。
ハリウッド映画がオリジナルではダメダメなのは先刻承知であるからこそ、海外やアメコミから借りねばならないのだろうが。
それでも、邦画がラストサムライにも満たないクズばかりなのが、まことに残念だ。

何故邦画がクズばかりなのか、それは「命の尊さ」ばかり際立たせているからだ。
ものすごく大上段な世界観や設定を企てても、「尊命」とか「家族」とか「恋人」とか一昔前のアメリカホームドラマの焼き増しに過ぎんようなテーマに矮小化されたものばかり乱発してるんだな、これが。

もう、タイトルを口にするのも憚る。
絶対にうんこだと分かっても、最初の観客動員さえ稼げればいいと思ってるような所もあるんじゃないか？
悪評も評価のうちとは誰かが言っていたようだが、これも戦略のひとつ。

そして動員叶わなければ容赦なく切り捨てる。
さて、みんなのきもちは何処に行った？

ヱヴァも宇多田ヒカルを使わなきゃ一般ピーポーの動員も駄目ですかい？

北斗の拳もあれ程キャスティングで駄目出し食らっているのに、三部作全て押し切ったのは呆れ通り越して、感服するくらいだ。
ゲド戦記も…前評判悪すぎなのは言わずもがなだが、あれで吾郎の初であり最後の監督作品となっただろうに。
ストーリーも木っ端であり、声も駄目、そして肝であるテーマも何の凝らしもなくだだ漏れであった。
これからも続けていくんだろうなあ。
たとえ悪評であろうとも、なんの反省もなきゃ。