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2009.05.01
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カテゴリ:映画日和
今回はついている。

客の入りも多くはなかったので、座って観る事が出来た。

これがジョン・ウーの私財を投げうって作られた映画なのだろう。

前回のと較べて戦闘がメインなのは三國志であればこそだが、今回は少し嫌気が差した。

全く嫌いではないが、魅入ってしまうところがある。

殆んどが見せ場であるものの、後半だからメッセージみたいのをふんだんに盛り込みたかったのだろうか、随所に戦を嫌わせる様な描写が見受けられた。

抑も、人間の本懐こそ戦いにあり、ではないのか。

屈強な武将等は戦い殺し合う事で生き甲斐を感じ、野末に果てたのではないのか。

普く人々に判って貰うべく厭戦的に捉えようとするのか。

しかし個人的に、戦闘シーンが最高である。

赤壁での大規模な戦闘がメインなのだから、それこそが血湧き胸踊る。

天才軍師孔明の働きで最強の魏を呉漢連合軍で打ち破ったのだ。

史実ではこの戦闘で魏が滅んだ訳ではない。

漢(蜀)も呉も魏に滅ぼされその魏もまた臣下の司馬家に乗っ取られて、晉と言う国に取って変わられてしまう。

魏の皇帝である曹操はここでは丞相と呼ばれていた。

皇帝であるのは、晉の国が中原を治める前に治めていた国だったと言う中華思想に倣ったからである。

曹操は終始丞相と呼ばれていたのだ。

丞相とは宰相の事で、今で言う所の国務大臣、総理大臣(首相)みたいな物だ。

どういうことかと言うと、曹操は皇帝(漢)の権力を纂奪して中原の覇者として君臨しようとしていたのだ。

劉備はその名の通り、漢の国を打ち立てた劉家の末裔なのである。

自ら蜀を名乗った事はなく、常に漢であった。

劉備の方には人材に恵まれているのだが、どうも余り力が無い様に見えてしまう。

役者の面構えなのかも知れないが、グッドチョイスだと思う。

趙雲は華麗だなと思えてしまう。

あの燃える鞭を振り回して敵を薙ぎ倒すのがいい。

関羽や張飛は最早キャラクターに成り切ってしまってるので言う事無しなのだが、中村獅童が演じた海賊出の将軍、甘興はこのレッドクリフならではのオリジナルキャラクターなのだそうな。

1800年前で、海賊と言うのなら考えられる線は一つ、甘興将軍は倭人ではなかろうか。

戦闘の見所は孔明の計らいで十万本の矢を手に入れる所と、赤壁の海戦だ。

夜の内に始まるのだが、爆弾を予め作っておいてそれを船に乗せて敵艦目がけて体当たりするのだ。

この突撃部隊、今で言う所の海兵隊みたいな指揮を執っているのは甘興将軍である。

次々と火を纏った船が曹操の艦隊に突撃して行く。

曹操の船には相手を迎撃させる為に硫黄を積んでいたのだが、急に風向きが変わって船はあっと言う間に火達磨になってしまうのだった。

甘興の部隊は出撃前に家族に手紙を書いていたのだが、それを今度はポイと投げ捨ててしまうのだった。

矢張、あれは遺書なのだ。

皆夫々爆弾を抱えて突撃をする。
彼等は元々海賊で蔑まされて来たのだそうな。

もしやここで名を挙げて果てるのか。

そんな甘興将軍も敵陣地へと上陸をするのだが、敵の矢を貰ってしまい、決死の覚悟で爆弾抱えて砦の門に突撃するのだった。

勿論甘興は玉砕するが砦の柵、櫓もろとも破壊に成功する。

この姿は正に嘗ての日本人そのものである。

ジョン・ウーはその事を判って日本人にやらせたのか?
日本人の為にそういう役をセットしたのだろうか。

わからない。

倭人、倭国は遣唐使を止める迄ずっと海洋国家だと言っていい。

縄文時代から既に縄文人、倭人は列島の周りを更に広範囲に渡って活動していたのだ。

そして東亜細亜で海賊と言えば倭冦である。

倭冦と言うのは、明の時代に東支那海等を中心に活動していた海賊の総称なので、何も日本人限定と言う訳ではないのだ。

朝鮮人も南支那の人間も、そして南蛮人も混ざっていたのだ。

兎に角、そうした倭冦をヒントにこの甘興と言うキャラを作ったのではなかろうか。

実はああいう荒々しい気質の人間は嘗ての日本人そのものだったりする。

支那人てのは古来より海に対して畏れを抱いていたのだ。
曹操の軍は十万本の矢を見す見す敵に送ってしまった二人の将軍を処刑した事により、水軍のスペシャリストを失う羽目になったのだ。

海賊に突撃を任せたのも、水上戦闘が得意だからなのだろう。

色々書きたいが、ネタバラシになるので控えます。

今回は五点満点中四点て所だ。
理由は前述の通り。





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Last updated  2009.06.19 05:34:41
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