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2011.02.26
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カテゴリ:毒電波テレビ感想

何だかラストサムライを日本的にアレンジメンントしたような感じだった。

藤原竜也が演じるのは、臼井六郎と言う両親を惨殺された士族の子である。

その六郎が、仇討ちに身を窶す。 

なんだか、まほろまてぃっくと、あーやと元ライフライナーの闘いみたい。

 

御一新となっても復讐の炎は消える事は無い。

仇討ちが禁じられても、男は往年の仇を探し求めるのであった。

 

まほろまてぃっくは、両親を喪った美里優と言う少年が、まほろというアンドロイドを与えられた事で人類の生存を試されるのだが、その事が受け入れられずに何時迄も解り易い敵に復讐し続けると言う話である。

初めはセイントが侵掠者だったと言う話だったが、実は違くて、解らず屋の人類を排除する事でセイントと人類が共存して行くと言う話になった。

ここでの人類代表の管理者って結局何者だったかは判らず仕舞いだったが、あれも遙か昔にやって来た異星人の子孫だったんだろうなあ。

て、この六郎は美里優に似てる。

優はセイントと言う異星人の子。

管理者に謀殺されたのだが、父もまたセイントに殺されるのだった。

実は優は親が殺される事よりも、最愛の人を殺された事に復讐心を燃やす。

機能停止する事位解ってたのに、それを待たずに死んでしまったのである。

優はまほろを殺したのは目に見える判り易い敵を規定し復讐の為に生きて行くのである。

フェルドランスは、直截的な敵とは関係ないのに、優に生きる意味を与えるピエロとなり続けた。

どうにもならない現実を受け入れさせる為に、人はその復讐に駆られる人の為にせめてもの償いを与える。

フェルドランスは、適当に優をあしらって何とかして生きる意味を与え続けてるのだが、足を滑らして優に殺される。

長い間の復讐に駆られる優を見てフェルドランスは「心を癒やしてくれたかい?」と最期に言う。 

優は敵も喪う事で自分を責め続ける。

 

六郎もそうだよなあ。

※六郎の名前って確か影武者徳川家康やSAKONで出て来た忍びの名前だったな。

 

明治12年になっても仇である一瀬を探す。

そんな下手人一瀬は東京で司法の判事をやってるのだから、何たることか。

ちゃっかり向こうでも家庭を作ってた。

下手人を殺す事はその家族の運命を殺す事他ならない。

まほろの作者でもある中山文十郎が原作の仕立人もそんな話だったなあ。

 

仇討ちには物凄い労力と時間を費やす。

六郎に剣を教えた師匠は下がれと言う。

しかし六郎にはそんな事はお構いなし。

心は既にあの時死んだ。

まるで木枯らし紋次郎みたく。

 

復讐の為に生きるのである。

生きる事は敵を屠る事と決めたから。

一瀬は自分が殺される事が解ってるから仕込杖を持ってたのだな。

本来なら、当時の藩の家老が下手人を咎めて居ればこんな事にならなかったのだった。

しかし、そこは武士の領分と言うか、武士の倫理で見逃したのである。

本当は六郎の父が開国派だったから家老が疎ましく思って攘夷志士に殺させたのである。

世が世なら武士の世が何時までも続いていた。

明治になってもその落魄れた元家老は武士の世だった夢を見ていた。

そんな判らず屋の士族ニートを見て吉岡秀隆が演じる中江は酷く落胆する。

話しても無駄だと。

 

この中江ってのは判事をしており、近代国家へと進む為に色々と苦心をする人物。

一瀬はこの中江の先輩。

一切の柵無しで六郎を法の下で裁こうとするのだった。

六郎の師匠も政府に勤めてたりとしてて融通の利く士族だったが。

 

それが判らずに不満をぶちまける士族の駄目駄目っぷりが此処で明るみに出てしまったなあ。

ドラマとは言え、ラストサムライですらないじゃん。

 

武士は食わねど高楊枝だったら西南戦争なんて起きやしないって。

今迄人治で暮らして来たツケが回ったのだと言えそう。

不平士族が中江を襲うが六郎の師匠である山岡が助けに入る。

剣豪だったからチンピラ侍なんか一網打尽。

 

て、これは六郎が一瀬を討ち取った後。

短刀で良くもまあ仕込杖に立ち向かって刺す事が出来たなあ。

 

ラストサムライ的映画なら、この仇討ちで終わるんだろうけど、此処はドラマ。

ゆるーいほのぼの感覚で観るのが吉ってのが良く判る。

 

山岡が士族として死なせて欲しいと願ったので、温情を入れて終身刑。

まあ士族の世論を考慮しての判決。

 

今だったら、情状酌量で厳罰に処せられる事は無いんだけどな(まあ法なので厳正に対処はされるけど)。

貞永式目が今の世の中で生きている。

 

長く培われて来た武家の掟、貞永式目が民間の肌の感覚で生き永らえている。

 

ただ、明治憲法発布前だったので温情が効いたみたいだったけど。

その憲法発布で恩赦をされて釈放。

だけど、六郎の心の片隅にはもう一つ、仇となる者の事で一杯。

殺しに行くけど、その下手人は殺した事が頭に離れられなくて気を病んでしまい、最後は首括って自殺をしてしまった。

 

さて、目標を失った六郎。

敵を討つ事に人生を費やして来たのだから生きる事の目標を失ってしまった。

だけど、その前に色々と周りの人間から説得されてたりするから、川辺で腹切ろうとしたのか短刀を出すけど、臆してしまって川へ投げ捨ててしまった。

 

ああーここが現代人かー。

前近代の野蛮人から、近代人詰まり人間へと変貌してく様を見るのだなと。

生きる事は命を全うする事だった。

まあ戦後民主主義じゃなくて、掟よりも法に従う事が、近代人としての自由なのだろうか。

生まれ故郷には、ずっと付き添って来た、なかが待っていたとさ。

ここがまほろっぽいなあ。

なかはよりによってキモいオヤジのお妾さんやる事になったとは…。

そのオヤジが温水とは…。

うう…。

可哀想だなあ。

温水が。 

 

まあ、誰か愛する人がいてこそ人は人足り得るって、ドフトエフスキーの『罪と罰』かよ。

罪人は愛する人の手前で懺悔し、改悛し、人として与えられた生を全うするべく生き続ける。

 

この作品の醍醐味は近代化の過程で人がどの様に生きて行くかと言う事の話なのに、愛する人が待ってるって、矮小化されてしまった様に感じる。

 

人は時代の流れに棹差さねばならんのに、何時迄も強情張るとその身を滅ぼすって事他ならんのに。

あずまんもオタに向かって自由が永遠に保障されたものでないてみたいな事を呟いてたな。

此れは別だけど。

 

罪と罰に話を擦り変えないと、人間って理解出来ないんだよねえ。

オタにはそんなものは無いから、二次元に萌えるんだけど、それすら取られたらどうなるんだ?

思想信条すら無くなるじゃん。

あーやと元ライフライナーの闘いもその過渡期を見る様だった。

 

あーやがステップアップて言い方変だが、仕事の幅増やさないと尻窄みになる事位判り切った事なのに、本人も説明不足で、急に足枷となった(と思ってる)オタ切りを始めたもんだから、オタは戸惑い狂気し、憎悪をあーやにぶつけ始めるのだった。

本当の、ファンならあーやに一切関わりを見せない事が、ライフライナーとしての最期の務めなのである。

あーやの幸福を願うなら、ファンを辞める。

これが気持ち悪いライフライナーに残された最後の選択肢。

辞める他無いのである。

道は一本だと判った途端、切り捨てるものが出て来てしまう。

 

サムライ達は、日本の繁栄の為にその身捨てざるを得なかった。

不平を言う者は屍になるだけだった。

かくて、日本からサムライはこの世から居なくなったのである。

 

日本の繁栄の為に、気持ち悪い二次元ロリオタを切ってアニメを世界に発信させる事が、政府の考えなのだろう。

今、過渡期である。

士族と名を残したが、そんな彼等がこの世の何処にも居ないことは明白。

 

ライフライナーも露へと消えるだろう。

 

そしてオタクもこの世から消えつつある。

その事は次回にちょっと考察。






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Last updated  2011.03.02 04:25:45
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