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New Life 5 ・ 第5連を読む。 【原文】 Each thing is vulnerable. The very thought about a thing gets quickly forgotten. Things are, in truth, the leeches of thought. Hence their shapes ----- each one is a brainユs cutout --- their attachment to place, their Penelope features; that is their taste for the future. At sunrise, a roosterユs heard. Stepping out of the tub, wrapped in a bedsheetユs linen in a hotel in the new life, you face the herd of four-legged furniture, mahogany and cast iron. 【翻訳】 それぞれの事物は傷つきやすい。一個の事物に関するまさにその思考は即座に忘却されるのだ。事物とは、本当に、思考のヒルだ。というのは、その形、姿がそうだから----それぞれの事物は、脳味噌が事物の動物様の群れから切り抜いてひとつひとつにしたものなのだから---事物は場所への附属物、事物の特徴は、あのPenelopeの特徴と同じなのさ。何故ならば、それこそが、未来に対する事物の味というものだからだ。夜明けに、雄鶏の声が聞こえる。 この新しい生活で、とあるホテルで、ベッドシーツの亜麻布(リネン)に体を包んで、バスタブから勢いよく歩きでて、四つ脚をした家具、マホガニーや鋳鉄の群れに直面するのさ。 【解釈】 1. ものは、傷つきやすい。人間ではなく、ものが傷つきやすいのだ。ものはいきものだろうか。確かに、生き・ものと呼べば、それは生きものになる。人間と同じだ。それならば,人間も傷つきやすいか。然り。ヒルに血を吸われてやはり出血し、ヒルを利用して医者は瀉血する。 ヒルの形状は、のっぺりとした紐である。あるいは少し平べったい紐である。目もなく、口もないようにみえる。両端点の形も同じである。いづれが口で尻尾か不明。いづれも口であり、尻尾であるのか。始めなく、終わりない形だ。丸まると円環を為すことができるかも知れないが、そうは実際にはできないのだろう。ものは、ヒルのようなものだと、いや思考のヒルだといっている。ものは直ぐ忘れ去られる。これは本当だ。ひとは直ぐ忘れる。そのことについて考えて、忘れる。ものというものは、本当に、思考のヒルなのだとBrodskyはいう。これは、何をいっているのか。思考の血も吸い、一寸痛いか、害をなすのか。害をなすかといえば、医者も瀉血に使うのだから善のために用いる、思考の恢復のためにも用いるというものだ。だから、the leeches of thoughtとは、思考のヒルと訳しては、よくわからない。このofが曲者。この前置詞の機能に戻って考えると、これはやはりヒルは、思考の一部、部分だといっている。思考がなければ、ヒルは存在しない。また、ヒルは思考から生れるという解釈もできるだろう。 その形状からいっても、姿からいっても、ヒルは、思考のヒルなのだ。みな同じような形をしていて、区別されない。そのときどきには、違って見えるが、直ぐ忘却され、また新しいヒルが生れる。これは、みな脳が産み出すものだ。意識の産物だ。つまり、空間的な場所への附属物なのだ。Attachmentだから、取ったり、入れ替えたりもできるというものだろう。意識の持ち主が自由に。つまり、ヒルとは、Penelopeのもつ特徴だ。Penelopeは、Odysseusの妻の名前。聡明で、 10年にわたる夫の帰還の間、求婚者を遠ざけるために智慧を働かせて、これを退けた婦人である。Odysseusの父親の経帷子を織る称して、昼は織り、夜はこれを解いたのであろう。以下の引用を読まれたい。ものは、そのようなものだといっている。何かものとは、生き物であるかのようだ。 さて、というのは、これが未来の味だからだ。未来の感触だからだ。夜明け前に聞こえる鶏鳴。So forthという詩に既に同じmotivがある。以下に再度引用する。これが、Brodskyだ。言葉がどこから産まれるか。血が何故吹き出るか。何故血を出すことが必要は。何故痛みをひとは感ずるのか。So forthの第3連から。夜明け前の鶏鳴のことではなく、ここでは、汽車の汽笛の響きである。こうしてみると、この汽車も夜明け前を走っているのであろう。 【原文】 The point, of course, is not autumn. And not oneユs own features, which alter like those of an animal approaching the one whoユll catch it. But this feeling of a puny paintbrush left idle by the painting that lacks a frame, a beginning, an end, a middle. Not to mention a gallery, not to mention a nail. And a train in the distance runs whistling along the rail, though you will spot no smoke inspecting its inventory. But in a landscapeユs view, motion is mandatory. 【訳】 狙うその点は、勿論、秋なのではない。それから、その動物を捕らえようとしているそのひとに近付いて来るその動物自身の特徴や姿は季節に合わせて、秋なら秋の色に変化するわけだが、ひとも動物と同じとはいえ、そのように変化するひとの特徴や姿が、その点なのではない。そうではなくて、この点は、後で生まれた絵筆の感覚なのであり、絵筆の運びによって何もしないままの放っておかれた、何か根拠と言うものが欠落した、後で生まれた絵筆の感覚、しかも、この絵筆は、枠や開始や終了や中間点を欠いているのだという感覚なのだ。 画廊、ギャラリーのことをいっているのではなく、爪のことをいっているのではない。つまりは、どのような種類の絵筆のことをいっているのではないのだ。 AND、且つ、遠いところを走る汽車が、軌道に沿って走りながら汽笛を鳴らす。お前が、汽車の石炭の残量を検査するための煙りを発煙してもいないのに。 BUT、しかし、景色を眺めようとすると、その景色の中では、動きというもの、動きの連鎖は、誰が命ずるのかは知らないが、どうしたって存在せずにはいられないものなのだ。 2. Penelope http://www.pantheon.org/articles/p/penelope.html1より引用する。 Penelope was the daughter of Icarius and a first cousin of Helen of Troy. She was the wife of Odysseus and was famous for her cleverness and for her faithfulness to her husband. When Odysseus failed to return from the Trojan War (he was delayed for ten years on his way home), Penelope was beset by suitors who wanted her to remarry. In order to delay them, she insisted that she could not remarry until she had finished weaving a shroud for Odysseus' father, Laertes. She worked each day at her loom, and then unravelled the cloth each night. After three years of successful delay, one of her servants revealed her deception, and the impatient suitors angrily demanded that she choose one of them for her husband immediately. At the prompting of Athene, Penelope said that she would marry the man who could string Odysseus' bow and shoot an arrow through twelve axes. By this time, Odysseus himself had secretly returned, disguised as a beggar; he passed the test of the bow, and then proceeded to slaughter the suitors who had tormented his wife. 3.最後の3行で、趣が一変する。これもBrodskyらしい。 Stepping out of the tub, wrapped in a bedsheetユs linen in a hotel in the new life, you face the herd of four-legged furniture, mahogany and cast iron. New Lifeという主題に戻ったのだ。 ものが生き物の一種ならば、you face the herd of four-legged furnitureであろう。 マホガニーと鋳鉄でできた動物の群れも目の当たりにすることになる。4つ脚のベッドとは、これも動物への比喩だ。マホガニーは家具の高級な素材の名前、cast ironは、よくBrodskyの詩に出て来るが、大量生産品の安物というイメージか。そうでなければ、またそうでなくてもよいが、文字通りの製品の群れという意味。On LoveのやSix Years Laterの閑散たる、監視された部屋の中にあった家具の素材をcast ironからわたしは思い出す。そのような愚劣極まりない、共産主義の時代の安物の大量生産品であるかもしれない。だからといって、マホガニーが高級で素晴らしいといっているのではない。これらは、群れ、herdなのだ。のっぺりとしてそれらしいヒルの姿を。Things are, in truth, the leeches of thought。よくもいったりBrodsky。ものが生きているという実感の生活、それが、New LifeなのさとBrodskyはいっている。経帷子を編む美しい女性の叡智の特徴を備えたヒル、事物と、生きた人間のこのような意識とが、こうしていられる生活、生命のありかたが、New Lifeなのだ。 こうして解釈してきて、thingは、事物と訳すのがいいと思う。以上ものは、以後事物と読み替えて下さい。訳もそのようにしてあります。 【語釈】 辞書は、いつもの通り、Webster Online 1. vulnerable. 2. leech 3. cutout 4. rooster 5. tub 6. herd 7. cast iron お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年03月05日 11時49分50秒
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