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2006年05月04日
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【原文】

Infinitive

To Ulf Linde

Dear savages, though Iユve never mastered your tongue, free of
pronouns and gerunds,
Iユve learned to bake mackerel wrapped in palm leaves and favor raw
turtle legs,
with their flavor of slowness. Gastronomically, I must admit, these years
since I was washed ashore here have been a non-stop journey,
and in the end I donユt know where I am. After all, one keeps carving
notches only
so long as nobody apes one. While you started aping me even before
I spotted
you. Look what youユve done to the trees! Though itユs flattering to be
regarded
even by you as a god, I, in turn, aped you somewhat, especially with
your maidens
― in part to obscure the past, with its ill-fated ship, but also to cloud
the future,
devoid of a pregnant sail. Islands are cruel enemies
of tenses, except for the present one. And shipwrecks are but flights
from grammar
into pure causality. Look what life without mirrors does
to pronouns, not to mention oneユs features! Perhaps your ancestors also
ended up on this wonderful beach in a fashion similar
to mine. Hence, your attitude toward me. In your eyes I am
at the very least an island within an island. And anyhow, watching
my every step,
you know that I am not longing for the past participle or the past
continuous
― well, not any more than for that future perfect of yours deep in
some humid cave
decked out in dry kelp and feathers. I write this with my index finger
on the web, glassy sand at sunset, being inspired perhaps
by the view of the palm-tree tops splayed against the platinum sky
like some
Chinese characters. Though Iユve never studied the language.
Besides, the breeze
tousles them all too fast for one to make out the message.

1994

【翻訳】
親愛なる野蛮人どもよ、ぼくはお前達の言語には決して習熟はしなかったけれども、なにせ代名詞と現在進行形がないのだからな、しかし、椰子の葉に包んだ鯖を焼いたり、生の亀の脚に、亀の歩みのゆっくりとした香りを恵んだりすることを学んだよ。その土地独特の食べ物に精通するという意味では、ぼくは認めざるを得ないけれでおも、この岸辺で波に洗われて以来この方何年もの間は、旅のしっぱなしだったし、到頭しまいには、自分がどこにいるのかもわからなくなった。結局、だれもそのひとのへたくそな猿真似をしない限り、その場合にだけ、そのひとは船旅に似た人生の記録をV字型に刻んで記録し続ける。ぼくはそう思うが、しかし、ぼくがお前を軽蔑する前に、お前の方がぼくの真似をし始めたのだ。だから、ほら見てみろ、お前が樹にしてしまったことを。もっとも、そうはいっても、お前達のような輩に神様だとおもわれるのは、ありがたいことだけれどもね。ぼくの方はというと、今度は、なんというか、特にお前の族の乙女達の真似をしてみたのさ。部分的には、過去を曖昧にするために、過去の災厄に見舞われる運命にある船でもって、その過去を曖昧にして隠すために、しかしまた未来に雲を掛けるために、そして帆が風を孕んで女性が妊娠するようなそのような姿の帆を全く欠いて。島は、時制(tense)の残酷な敵である。但し、現在形は別だ。そして、島から見える座礁した難破船は、文法から純粋な因果律の中への飛行にほかならないのさ。鏡がないと、生命というものが、代名詞にどんなことをするかを見て御覧。もちろん、ひとの特徴についてはいうまでもないことだけれど。ひょっとしたら、お前達のご先祖様も、ぼくのような流行の服ににた服装をして、この素晴らしい砂浜に、打ち上げられて終わったのではないだろうか。だから、お前達のぼくに対する態度が恭(うやうや)しいのではないだろうか。お前達の眼には、ぼくは極く小さく見えて、島の中にある島に見えているだろう。そして、ぼくの歩き方を見れば、ぼくが過去分詞や過去進行形を、いま現在進行形で願っているなどということはないことが、お前達にはわかるだろう。そう、深いところにある、とある湿った洞穴にあり、また乾いた昆布と鳥の羽根でめかしこんだ、お前達の未来完了形以外のことは、願っていないのさ。ぼくは、これを、ぼくの人差し指で、湿って、ガラスみたいにキラキラした砂の上に、この日暮れに書いている。ひょっとしたら、なにか支那の文字のような、プラチナ色の空に向かって広がっている、椰子の樹のてっぺんのその眺めに触発されながら。とはいっても、ぼくは支那の言葉は勉強したことは一度もないのだけれど。それから、もうひとつ、海から吹いてくるそよ風が、支那の文字みたいな椰子の樹のてっぺんを、みな、余りにはやくかき乱すので、メッセージにならないのだ。




【解釈】

8. While you started aping me even before I spotted you.
このwhileは、前の文に掛けた。この文は何をいっているのだろうか。Brodskyのいう一人称がお前達を軽蔑する前に、俺が軽蔑するかどうかとは関係なく、もう俺のへたくそな真似をしやがっていたという意味だ。それなのに、おれと来たら、結局だれもおれの真似をしなければ、そうだから、V字型の刻みめを刻み続けるのだなどとほざいていたのさ。

9. Look what youユve done to the trees!
これは、野蛮人どもが、樹にV字型の刻みめを、Brodskyの真似をして、入れてしまったことをいっている。BrodskyはわざとLookの次のatを取っている。
Dear savagesの猿真似を真似ているのだろう。そういう感じを出したいからだろう。あるいは、読み過ぎだろうか。

10. but also to cloud the futureとは、Brodskyらしい。New Lifeの最後の連の第1行目、a cloud is better than the right sunを思い出そう。結局、現在に戻るのだ。今、只今この時に何かを知らなければ、その人の人生は烏有に帰する。それは夢だとは知らずに、仮想の現実だとは知らずに、実際にあるものだと勘違いをするのからだ。この理解は、後で出て来るIslands are cruel enemies of tenses, except for the present oneに繋がっている。

しかし,何故この島の原住民の乙女の真似をすることが、わたしにとっては価値があるものだったのだろうか。若く、何もかもが初めての経験だからどうか。そのような毎日だからだろうか。箸が倒れてもおかしいからだろうか。未来に何が待ち構えているか(これもこのように書く言葉の問題である。そのときになってみたら待ち構えていないかもしれないし、未来はなにより待ち構えるものではないかも知れない。これが言語の問題)、それを知らないからだろうか。それをわたしの場合は、運が悪かったのさといって、そんな口実で過去を曖昧にしてしまうために、ああこういう乙女達にあっていればもっと人生は変わっていたのにと、そうおもったのだろうか。

11. devoid of a pregnant sail
帆が風を孕むのを、ここでは、女性が子供を孕んでいる姿に擬している。しかし、devoidだから、そうではないのだ。そのような帆を欠いている。

12. Islands are cruel enemies of tenses, except for the present one
島は、時制(tense)の残酷な敵である。島はtenseを殺戮する。但し、現在形だけは別である。島には、過去も未来もぼんやりとしているか、ほとんどないようだ。あるのは現在だけだ。島に住むとは、そういうことだ。

13. 座礁した難破船は、文法から外れて、因果律の中へとひとっ飛び。因果律とは、原因があって結果があるということだから、時間の中で生起する事象をいっている。難破船は、文法で文を創るときに、因果関係を壊して作文することができるのに対して、そうではなく、自然の法則に従った結果の事物だといっている。

あるいは、全く正反対の解釈もできる。文法という規則の束縛を逃れて、全く純粋な因果律に飛びいるという解釈も成り立つ。この場合の純粋な因果律とは、それ自体が逆説的ないい方になるが、時間の無い成立関係である。

14. Look what life without mirrors does to pronouns, not to mention oneユs features!

鏡がないと、生命というものが、代名詞にどんなことをするかを見て御覧。もちろん、ひとの特徴についてはいうまでもないことだけれど。

New Life第1連2行目にimagine that you can still make an mirrorと出て来る。鏡がなければ、ならない。代名詞ではだめなのだ。鏡こそ再帰的な関係を創造するから。主語と述語で構成される一文を創造するから。生命に戻るもの、再帰するものは、生命自身に他ならないのだ。それがNew Lifeなのだ。こうして解釈してみると、これらの詩の間には脈絡が通じている。これはInfinitiveとNew Lifeばかりのことではないだろう。このようにこの詩集So Forthは地下水脈で編まれているということになる。

こうしてみると、not to mention oneユs featureのfeatureも、再帰的な姿をとって現れるもうひとりの自分自身だということになるだろう。そのような自分自身に認識された、そのひとのfeature、特徴。Brodskyがfeatureという言葉を使うときには、いつもこの再帰的な関係を前提にしているのだな。Their Penelopeユs featureと、New Life第4連4行目にあり、そうするとこの連の意味もより一層深く理解することができる。蛭とは何かである。織っては解き、解いては織る経帷子,死装束の織物である。それが事物であり、その事物を認識するのは、その人である。その人の再帰的な関係が事物にはある。代名詞では、とても用が足りない。代名詞では、つまり鏡がなければ、普通の原因と結果の連鎖の中の文をしか作文することができない。


【語釈】
1. savage
2. gastronomically
2.1 gastronomy
2.1.1 culinary
3. mackerel
4. notch
5. ape (n)
5.1 ape (v)
6. flatter
7. devoid
8. tousle
8.1 rumple






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最終更新日  2006年05月04日 15時17分46秒


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