メイフノキジンエビ
漢字で書くと「冥府の鬼神海老」。深海生物には、外観が奇抜なものが多く見られますが、本種もその一つ。鋭く尖った額角をそなえた頭胸甲や、いかにも鎧チックな腹部など、いかにも深海生物らしい外観を呈しています。本種は、北太平洋の水深2,988~3,308mの海底から採取されており、大陸棚程度の深海とは比べものにならないくらいの深海に生息しています。本種が属するキジンエビ属の属名の「Sclerocrangon」は、 ギリシャ語由来で、Skleros = 固い+krangon = 小さなエビを意味しています。まさに、この鎧のような殻に対して付けられた名前で、和名に対しても、おどろおどろしさより中二病的なかっこよさがあります。深海生物の多くは、調査船などに乗った際に、眼にすることはあっても、なかなか身近で見られないので、たとえ標本であっても、実物を見られることは本当にありがたいです。メイフノキジンエビ Sclerocrangon zenkevitchi 十脚目(エビ目)エビジャコ科 2017年8月12日 東京都国立科学博物館特別展「深海展」展示標本