789913 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

ニッポンとアメリカの「隙間」で、もがく。

ニッポンとアメリカの「隙間」で、もがく。

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カテゴリ

フリーページ

カレンダー

2010.05.21
XML
カテゴリ:医療_糖尿病
糖尿病と各エスニック・グループ別アプローチといったお題のセミナーに、またまたアジア代表パネリストとして出席したら、パネル側は全員常連だった(笑)。その中の黒人代表の女性牧師さんは、年齢は恐らく60歳前後。牧師さんなので、話に皆を引きこむのが非常に上手い。
彼女が話し出すと、会場がしーんと静かになる。
うちのダンナの家族にも見られる黒人独特の底抜けの明るさで、たちまち誰もが彼女のとりこになる。

20代で軍隊に入って初めて健康診断を受けて、そこで糖尿病だと言われたのだが、その医者も
「まあ、食べるもんに気をつけな」ぐらいだったため、深刻に受け止めることはなく、
その後、経済的事情や仕事に没頭する生活から医師にかかることさえせず
(黒人で女性で無保険というアメリカの悪環境もあり)、ある朝、起きたら目がほとんど見えず、そこで初めて医者に行った。最初に糖尿病を指摘されてからすでに25年ぐらいが経っていた。でも、その時点では手遅れで、今は糖尿病合併症によりほとんど失明の状態で、
それと共に数年前からは人工透析を週3回やっているとのこと。
彼女は牧師であることもあり、"You don't have to go this far."という
反面教師として自分のありのままの姿をあえて見せているということだった。

もう一人のパネリストはやはり60歳の白人の男性。12歳で1型発病。
私も知らないようなインスリンの注射の名前をいくつも並べていたが、
主治医からはせいぜい生きられて25歳だろうと言われていたそうだ。
その診断が誤りだったことを私はこうやってまだ証明し続けているんだよ、
その主治医の方が先に数年前に死んじゃったしね、なんて冗談を言って
会場を沸かせていたが、彼もバンドマン時代の不摂生がたたり、
やはり糖尿病の合併症により、片目を失明している。


だから不摂生なんてするもんじゃないよね。


・・・というのが、私の今日の結論ではない。

これは糖尿病を持つ人が誰でも陥る落とし穴である。
いつもいつも規則正しい仙人のような食生活が送れれば、糖尿病の管理は易しい。
でも、糖尿病の人だって、〆切に追われたり、残業したり、あるいは子育てにかかりきりになる。

その時の生活が自分の思うような理想的な糖尿病の管理を許してくれないのならば、
その生活のままで可能な管理の方法を模索すべきなのである。


また、この2人の凛としたその姿に心を打たれた。
糖尿病患者としては決して模範生とはいえない経過をたどって来たというのに、
こうして皆の前に出てきて、これではダメなんだよということを話す、その潔さ。
私だったら出来るだろうか。別に私も模範生ってわけじゃないけれど。

その糖尿病セミナーの終わりに、参加者達がスタンディングオベーションしてくれた。
ちょっと照れくさかったけど嬉しかった。
普段の生活で、こうして自分の特に楽しくもない糖尿病の話を聞いてくれる人はこんなにたくさんいない。
しかも、立ち上がって拍手してもらえるなんて。

女性牧師さんとはセミナーの後、近くのレストランで一緒に朝食を摂りながら駄弁って帰って来た。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2014.10.15 12:41:50



© Rakuten Group, Inc.
X