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ニッポンとアメリカの「隙間」で、もがく。

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2012.01.19
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カテゴリ:医療_糖尿病
2型の糖尿病と診断されてからもうすぐ30年になる。
自分の中ではかなり消化したつもりでいるが、時々弱気になって愚痴りたくもなる。
それで、ツイッターでも時々ぼやいていたりしたのだが、
140字の中では伝えきれないことも多く、少し誤解して取られたりすることも
何度かあったので、やはり、こうしてブログの記事としてきちんとまとめて
行こうかなという気になった。

ある一人の糖尿病患者の心の動きでしかなく、これが全糖尿病患者を代表するわけでは
ないが、少しでも、この、誰もが知っている、でも、誰もよく知らない病気を持つ
人生とはどんなものなのかを共有してもらえたら嬉しい。



先日、半年ごとの糖尿病検診に行った。
そこでは必ずHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)という値を測定し、
過去数ヶ月間の管理の良し悪しを見る。

これが、毎回プレッシャー(笑)。
いや、日ごろからちゃんと理想的な食事をしていれば良いのだが、
だいたい1ヶ月、2ヶ月前から
「あ、夏に水着姿になるまでに痩せないといけないのに、やばい!」
に似た焦りをすることになる。

このHbA1cの値を目標値にするには、
食前血糖値:90-130mg/l
2時間後血糖値:160mg/l 以下
にしないといけなくて、この血糖値にするには
毎回の食事のカーボ(炭水化物)量を守らないといけない。

まあ、こうやって数行で書いてみると簡単だが、
実際はそれほど簡単ではない。

だいたい、糖尿病でない人は血糖値がいつも一定に保たれていて、
食事を摂って一時的に血糖値が上がっても、ある値以上になることはなく、
しかも、すぐにその量に見合ったインスリンが分泌されて、元の状態に戻る。

糖尿病の人の場合、その機能が全くなくなってしまう(1型)か
うまく機能しない(2型)。

私はインスリン分泌の少ない2型だと判断しているが、
これは言ってみれば、仕事のトロい社員のようなものである。

デキる社員というのは、いつ、どんな量の仕事を渡されても、
ちゃちゃちゃと処理できる。

しかし、トロい社員はそれができない。ちゃちゃちゃと処理できずに、
どどどと仕事がたまっていき、オーバーフローとなる。

でも、その社員を戦力として使い続けなければならない場合、どうするか。

一つは、「決められた量の仕事」を、「決められた時間」に与える、ということである。
それでも対応できなければ、仕方がないので「他の戦力」を投入する。
この場合の「仕事」を「食事」に、「他の戦力」を「経口薬やインスリン注射といった薬」に
置き換えたのが、糖尿病に対する基本的な治療法である。

ただ、実際の毎日の生活において、決められた時間に決められた量の食事をする
ということは、それほど簡単ではない。

たとえば私の場合、遊びに夢中になると寝食を忘れてしまう子供が2人いる(笑)。
息子をチルドレンズミュージアムや水族館などに連れて行くと、息子は
昼食を摂るのも忘れて遊び呆ける。たいがい、こういった施設は決まった場所以外
飲食は禁止なので、周りの人にこそこそ隠れて食べるとなると、食べられるものも
限られて来る。息子をようやく説き伏せて食堂に行く頃には私はお腹がすいて
ヘロヘロである。あるいは、入館する前にある程度の間食を取っておくなどの
対処をあらかじめしておかなければならない。でも、それも、どこかにきちんと
すわってインスリン注射を打って。。。というのはなかなか難しい。

あるいは、こんなこともあった。
アメリカなら感謝祭からクリスマスに向けてのホリデーシーズン、
日本なら忘年会からお正月までの年末年始が、食事療法を乱す
大きな原因となる。外食や他人との食事で、自分の食事量を守るのは
かなりのハードルである。

私の場合は、年末にチャイナタウンで、とある会の飲茶ランチのお誘いがあった。
飲茶というのは、「いつ」「何が」出て来るか分からないという点で、
トロい社員には大敵の部類に入る食事である(笑)。
しかも飲茶は餃子、シューマイなどカーボ量の多い食べ物が多く、
それほど多くの量は食べられない。
本来なら断るところなのだが、その日、私は冬休み中の子供2人を抱えており、
午後2時に息子の友達の家に遊びに行く予定になっていた。
それで、「食事の管理が難しくても、朝起きたその瞬間からケンカをし続ける子供達の面倒を家で見るよりはマシ」という、「どっちがマシか」という消極的な理由で、参加することにした(幹事さん、ゴメンナサイ)。
もちろん、行けば知っている人達とおしゃべりができて楽しく、子供達も他の子供達と仲良く遊んで、しかも、私には「水着を着る日ならぬ検診の日」が頭の片隅にあってブレーキが利き、食べすぎもなく、皆が他己紹介で盛り上がっている間にささっとインスリンを打ち、その夜の血糖値は目標値内におさまっていたのだが、こうやっていつも上手く行くわけでもない。
血糖値管理がうまく行かなきゃ行かないで、自己嫌悪と戦う羽目になる。

そうやって、自分としては「水着を着る日までに理想の体型・体重に近づきたくて」も、人生においては、いろいろと誘惑や、それを阻む要素が容赦なく降りかかってくるわけなのである。


翻訳の仕事の〆切と花のレッスン日が同じ日に重なり、最後の追い込みとレッスンの準備でかなりピリピリしているところに、子供達はちっとも言うことを聞かず、夫が雷を落とす。そういう状況の中でも、「よし、それじゃ、今日は勘弁してやるか」とでも言って、糖尿病は待ってくれない。あるいは糖尿病だからと言って、聞き分けの良い、育てやすい子供を神様が授けてくれるわけでもない(笑)。

糖尿病になっても人生は続いて行く。
それが、糖尿病を持つ身として、一番しんどいことだと、私は思っている。





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最終更新日  2012.01.19 08:26:23



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