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ニッポンとアメリカの「隙間」で、もがく。

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2012.04.26
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カテゴリ:医療_糖尿病
先日、少し気になる記事を見かけた。
糖尿病でダウン渡辺徹 カルボナーラなどパスタ3皿一気食い

俳優の渡辺徹が、持病の糖尿病と過労を理由に舞台を降板を決定。
妻の榊原郁恵が家庭菜園を持つほどの徹底ぶりで食事の管理をしたにもかかわらず、渡辺徹は地方の仕事を増やして管理の目の届かないところで食べ放題、という生活が続いていた、という記事。

私はこれに対して自分のFacebookにて、
「気持ちはよぉく分かるけど、これは良くないよ。妻の献身が息苦しいなら、ダウンしない程度に「息抜き」しながら自分で管理しなさい」という辛口のコメントを書いたのだが、少し経って思い直して、以下のコメントをつ加えた。
「でも、糖尿病って状態が悪いと、こういう風に歯止めが利かなくなっちゃうんだよね。私も20年ぐらい前はそういう感じだったから、分かる。分かるだけに何とか頑張ってほしいよ。」

その当時大学生だった私は、初めて親元を離れて一人暮らしをしながら学生生活を送っていた。後で糖尿病に関する講義を聴いて分かったことなのだが、糖尿病の状態が悪い場合は、いつまで経っても満腹感を感じることができず、食べ続けてしまうのだと言う。まさに、私がそのような状態だった。アパートの近くにコンビニがあり、真夜中にさえ出かけて甘い物を買って食べるありさまだった。1時間経つと、やはり何かが食べたくなり、小鳥がさえずる明け方になってようやく眠気が襲ってきて眠れるような、そんな状態だった。

糖尿病にはHbA1cという管理の指標となる値があって、基準値は4.3~5.8%だが、その頃の私は何と2ケタ台で、長い夏休みや春休みは必ず入院する羽目になっていた。これは教育入院とも呼ばれるもので、新しく糖尿病と診断された人や、私のように再犯を繰り返す(笑)人が規則正しい食事をし、運動をして、糖尿病に関する講義を聴いて知識を深めるというのが目的。2週間を1クールとしており、そこに集まる患者さんたちの間では、退院することを「娑婆に出る」と半ば自嘲的に言っていたが、本当にそんな心境だった。

私のような年齢の患者は本当に少なく、いたとしても、あまり共通の認識を持てるような相手でもなく、ほとんどが中高年以上の人達だった。その病院には小さな喫煙所があった。本当は喫煙も良くないのだが、最初からあれもこれも禁止してしまうとかえって良くないとの配慮から設けられたものだった。私は一度もタバコを吸ったことはないが、そこに集まる人達の世間話などが楽しくて、自由時間には良く出入りしていた。私は大部屋にいたが、そこは出産、育児などが一段落した中年以降の女性ばかりで、何かと「あんまり無理しちゃダメだよ」とねぎらってくれてはいたのだが、私にとっては、この喫煙室に出入りする、働き盛りの男性の患者さん達の方が心境的には似ていたのだと思う。責任のある仕事と養うべき家庭を持ち、おちおち病気もしていられないという危機感みたいなものを間近に見て、私の場合は、人生はこれからなのだ、あんまり無理をしちゃダメだとのんびりなどしていられないという危機感をそこに重ねることになったのだろう。

それが、入院→退院→暴飲暴食→入院というループから脱出し、立ち直るきっかけになったのだと思う。

ただ、これはあくまで私にとってのきっかけであって、他の人にとっては、その人なりのきっかけがあるに違いない。それに、一度悪循環に陥ると、そこから抜け出すのは思いのほか難しい。それを、自己管理が悪いとその人のせいだけにするのは非常に冷たい仕打ちだと思う。だから、もし、身近にそういう人がいたら、その人を責めるのではなく、どうしたらその悪循環から抜け出せるのか、一緒に考えてあげて欲しいと思う。





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最終更新日  2012.04.26 10:33:14



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