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テーマ:今日の出来事(292965)
カテゴリ:日々のいろいろ
日本の民法が制定された頃、誰が自分の子供が他人の胎内で育てられ出産されると想像できただろう
法律というのは、おおむね過去に起きた事象をもとに制定されている。といっても、個々の事象に対応した法律や条文が逐一設けられているわけではない。 ここで登場するのが法律家で、彼らが最も適切だと思われる法律の条文をあたって、それを類推的に解釈したり、過去の判例にてらしたりして、既存の法律を皆に衡平になるよう、議論しながら運用しているのだ。 向井亜紀が起こした、代理母出産で出生した子供との親子関係をめぐる訴えで争点となったのは、法律上の母親は誰なのか、何を以って法律上の母子関係を認定するのかということだ。 民法が制定された頃は、「子を懐胎して、出産した人物」とその子の間に何の問題もなく母子関係が認められていた。父子関係については昨今物議をかもしている例の「300日問題」があったりとちょっと鬱陶しいのだが、母子関係云々については実にすっきりと認定されているのだ。母子関係の認定については、論点なんぞ、ないに等しかった。 それが医学的進歩により、子供を持つための手段が、想定外の変化を遂げた。 時代の急激な変化に法律が対応しきれなくなることがある。 今日最高裁の判決が出た向井亜紀の代理出産の事例は、まさにそんな一例だ。 DNA鑑定の結果、向井亜紀と二人の子供には99.9%の確率で親子関係が認めれるそうだ。DNA上は、彼らは親子なのだ。 しかし、法の番人である最高裁は「法律上は母子関係は不存在」という判断を示した。民法がそう決めている以上、そういわざるをえない。裁判所は法律を改正したり、違う風に解釈したり、裁判のつど新しく制定したりする機関ではないからだ。寧ろ、保守的存在といえる。 向井亜紀には代理母出産した子供と特別養子縁組をするという手段があるが、これはもともと「親子関係のない人間の間で」行うものであるので、手続きのためであっても「親子関係がない」ことを認めることが、向井亜紀には感情的な面で許せないのだと思う。 そういえば去年のニュースに、体外受精した娘夫婦の子を出産した母親のニュースがあった(この娘夫婦は、実親子関係の存在を確認する裁判を起こさず、生まれた子供を養子縁組したと思う)。 「300日」問題で無戸籍の子供の存在がクローズアップされてきた。この場合、父子関係不存在の訴えを起こしてもらえば足りた。でもテレビ等でインタビューを受けている母親たちは口々に「DVで逃げたので、居場所を知られたくない」「今さら関与したくない」「別れた相手にお願いするのがいやだ」等訴えていた。 実際に自分が当事者になったら、そうしてしまうかもしれない。 生まれてきた子供たちが困らないように、人道的に配慮してあげてほしい。 この「300日」問題には解決される動きが出ているので良かった。 民法には女性の再婚禁止期間(6ヶ月)等、ふる~い(うえに男女不平等)規定が散見されるので、見直しが必要だと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Mar 23, 2007 07:06:55 PM
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