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昨晩は誠に寒い夜であった。風呂上りにはパンツ一枚で過ごさせていたのが(おばさん自身ではない。幼児たちの話。)突如、しかも久しぶりにパジャマを着させる。こういう朝晩の温度変化には子供、特に幼児たちは夏風邪が待っている。
「さぁ、寝るよ。」母親の低めの声の具合から、このままテレビにかじりついていたら、怒鳴られるのは必至だと悟る幼児たち。コソコソそそくさとテレビを消し、トイレに駆け込む。若いが中々飲み込みがいいぞ・・・。うっへっへ。 カーテンを明け、簾越しに夜の空を窺う。良く晴れている。月がきれいだ。これから日増しに月がきれいになってくる。月を見ながら眠るのは子供の頃から大好きである。窓を閉めるのは惜しいが、今晩の肌寒さは特別だ。0時も過ぎれば寒くなるだろう。 長女のいつもの毎晩の、「今日の質問コーナー」の時間。 「なんで?」「なぜ?」「どうして?」にまつわる彼女の日常の事象にそれなりに答えていく。それを聞きながら長男は寝入る。明日彼はどんな言葉をおばさんに披露してくれるだろうか。 長女がゆっくりとおばさんに背を向ける。彼女が寝入りばなに必ず行う事である。前に「どうしてアンタは寝る時、おかあさんに背を向けるの?」と聞いたことがある。すると彼女は言いにくそうに答えた。 「だって、眠くなって目をつぶって、また少し目を開けるとおかあさんの顔がこっち向いててびっくりするもん。おかあさん、怖い顔で寝てるもん。」 たぶん、おばさんは寝る時、(誰でもそうだと思うが)色々考え事をするから自然と眉間に皺が寄る。その顔を言ってるんだろう。もちろん、もともと顔が怖いのかもしれないけど・・・。 虫の声が聞こえる。遠くで蛙の合唱も聞こえる。秋と夏が同じ夜に奏でている。四季の移り変わりは単に温度の推移で感じるだけでなく、やはり、生物の蠢きでも感じたいものである。そういえば、ケースの中のカブトムシも涼しいここ2、3日、動きがのろくなってきた。ムカデの登場ももうしばらくの辛抱である。 振り子時計の優しい鐘の音にふと目が覚める。今何回打ったかな。体は寝ていても、頭が起きている時、鐘の数を無意識に数えてしまうのはおばさんだけだろうか・・・。なんにしても「夜中」である。車の行き交う音がしない。12時は過ぎてるだろう。 幼児たちを見て見る。 長女は相変わらず、時計の針のように、寝た時とは全く反対方向に寝ている。足に枕をあてている。 長男は旅をしている。どこか遠くで寝ている。ヨッコイショ、と約12キロを両手で抱え、布団に戻す。 毎日毎晩、母親はこんな夜を過ごすのだ。そうしていつか各自自分の部屋を持ち、一緒に眠る事はもちろん、親と顔をあわせる事も「子供じゃねぇよ。」などとうざったく言うんだろう。それでなくちゃ困るんだけど、なんだか寂しい。だからおばさんはこの幼児たちとわざとくっついて眠る。今だけの親の身勝手。寝顔にチューなんかしてみる。 突然長女が、うひゃひゃひゃ・・・と笑い出す。弟の名前をしきりに呟き、呼んでいる様だ。姉弟仲がいいのは夢の中でも微笑ましい。あんたの両親は年が多いから、万が一、あんたと同じ年頃の子の親より早く逝く事があっても、弟は大事に頼むよ。 おばさんは取り留めのないことを考えながら、また深い深い眠りにつく。 おばさんの寝相は昔から決まっている。 「走っている」のだ。横を向き、左手右手、右手左足をそれぞれ前後ろに投げ出し、とにかく「走っている」姿である。 主婦とは、母親とは、日夜「走り続ける」のである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
August 21, 2002 02:49:45 PM
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