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漢字とは誠にうまく構成されているものである。
「虫」が「ぶ~ん」と鳴きゃ「蚊」である。 朝晩寒くなってきたこの時期、いないと思われるだろうが、ちゃんといるんです。 おばさんの近辺で出没するのは、あのシマシマトラの・・・じゃなくって、シマシマの蚊とアカイエカと呼ばれる蚊である。 今日はこの「蚊」についてお話します。 シマシマは動きがすばやく、歩いていようが走っていようが飛びついてくる。吸われた後もしつこく痒い。声も力強く、集団で来られた日にゃ、蚊の暴走族と例えるにふさわしい。 これに比べ、アカイエカはのんびりと部屋に入ってきて、カーテンや天井に止まって、夜の来るのを待っている。そして、これまたのんびりと耳元にやってきて「は~い、やってきましたよ~ん」てな感じで「プ~ン」と囁く。しかしながらこれがまた厄介者で、どこで吸おうかひたすら迷う。あっちにとまりこっちにとまりして、吸おうとしない。でもまぁ、アカイエカならさほどの痒みはないのでまぁいいか、という感じもある。 おばさんは特技、とは言うに恥ずかしいが、寝ながらにしてこれらの蚊を素手平手打ちにて撃退する感覚を備えている。 例えば、おばさんがスヤスヤと眠りについている。そこへ夜這いの如く「蚊」がおばさんの耳元へ羽音で知らせる・・・「へっへっへ今晩もいただきに来てやったぜ・・・」「昨日はよくもやってくれたな、俺のダチ公を容赦なくぺちゃんこにしてくれやがって。」「弔い返しだ、ほれ、ぷ~んぷ~んぷ~ん。」てな感じでおばさんの聴覚を刺激するのである。 そこまで挑発されたらおばさんも黙っちゃいられない。両脇にいる幼児達を布団に戻し、なるべく掛け布団をかけてやる。これはおびき寄せた「蚊」の被害に合わせない為の防止策である。 そして、静かに静かに掛け布団から露出していた自分の両足を引っ込め布団に隠し、両手をキリストに祈るが如く、胸元で組み合わせ、なるべく自分の顔に引き寄せる。ここがポイントで、これらの行為は全て自分の顔面に「蚊」をおびき寄せるためのものなのだ。 この際、腕の露出しているパジャマなら手を組み合わせるより、エックス字型にクロスさせても良い。長袖のそれならなるべく腕の露出を抑えるよう、身支度する。 この状態が出来上がった様は、まさにツタンカーメン王のミイラ像そのものである。そこでおばさんは目を閉じ、ひたすら聴覚を集中させる。 すると「蚊」がどこら辺をとんでいるかが、羽音により解る。 「蚊」は獲物を物色しながら飛んでいるので、一度その羽音を聞き逃しても、大抵すぐに戻ってくる。ひたすら待つのである。 ・・・・オッと、配偶者が腕をバシッと叩いている。そう、羽音が聞こえなくても向こうで眠りこけている配偶者の様子でも、「蚊」の現在位置がわかるのである。 ・・・・ヤヤッ!聞こえてきたぞ・・・・ おばさんは羽音を捉えた。自分の聴覚に全神経を集中させる。まさにおばさんは市川雷蔵の円月殺法もどきの気合の入れようである。おばさんの顔面間近で「ど・こ・に・し・よ・う・か~な・ど・ち・こ・ち・天神さんの言うとおり・・・」などと歌っているわけもないが、「蚊」は確かにおばさんの顔面で、その羽が起こす僅かな風を起こしながら・・・、おっと、今止まったぞ。う~む、ここで叩いてはいけない。「蚊」はまず、血のありかを捜す。その捜している段階は容易に飛び立ち易い。ここではおよそ仕留める事は出来ない。がしかし、戦闘準備は必要である。その部位に一番近い手をゆっくりと蛇の如くに近付けて行く。もしかするとここで殺気を感じた「お利口な蚊」は一目散に逃げる。が、案ずるなかれ。「蚊」にしてみれば「なんでぇ、こんちくしょぉ。い~とこだったのによぉ。」てな感じでその場を離れただけなので、まもなく未練を断ち切れずに帰ってくるのだ。そんな行為を考えると、血を吸うのは雌の「蚊」だけ。というのは納得いかない。むしろ、雄の方がそんなしぐさはお似合いであるのに・・・・。 話がそれたが・・・・ まもなく、「蚊」が刺した・・・正確に言うと「蚊」がその口を皮膚に挿入した感じが「チクッ」っと解る。う~む、「挿入する」行為・・・この行為も雌の「蚊」でなくむしろ雄の・・・・話がやはりそれるので次に進む。 ・・・そうだ!今このときである。エッチな表現に拘っていてはいけない。その部位にビシャッと手のひらを当てる。ポイントはあくまで手の平で叩こう。力加減はあまり問題ではない。確実に仕留める為には手の平を窄めず、目一杯開き、その張り切った張力も加勢して「蚊」は押しつぶされる。 おばさんの友人に楽しみながら「蚊」を撃退する男性が居た。 「蚊」が彼の腕に止まる。チクッとするまで待つ。この時である。彼はその腕に満身の力を込める。グッと握った拳はまるで岩のよう、蚊の止まっている腕は筋肉が立ち、血管が浮き出ている。「蚊」はその皮膚の異変に気付き、逃げようとする。が、逃げられない。その筋肉の強烈な「締め技」で「蚊」の口が皮膚から抜けないのである。その様は、鼻を天の岩戸に挟まれた象さながらである。 後日試しにおばさんもやってみたが、これは筋肉がムキムキでないと出来ないらしい。「蚊」はせせら笑いながら、まんまとおばさんの血を吸い逃げし、言うまでも無く、後に残ったのは「痒み」だけであった。 さて、話をもどそう。 ・・・もちろん、チクッと感じてすぐ叩くより、半呼吸位間を空けた方が良い。「蚊」が嫌がられる原因は「耳元で鬱陶しい羽音」と「吸われた後の痒み」にある。チクッとしても「蚊」はまず「血を吸い」そして「痒みのもとになる液を皮膚に注射している」のだから、血は吸われたとしても「蚊」に注射される前に「追い払う」か「叩く」かの方法を選べば良いのである。 もしかしたらこの先、「蚊」が絶滅の危機に陥った時、その保護団体は 「『蚊』には血を吸わせ、子孫を増やす事に協力しましょう。どうしても我慢できないなら、血を吸われた瞬間に、『蚊』を追い払いましょう。」 と、PR・・・するわけないか。「人間」は絶滅してもゴキブリ、蚊などの類はきっと絶える事はないだろう。 大体、「蚊」が「はい、今血を頂きましたよ~、さ、今度はわたしが注射しますね~、あとでカユイカユイですけど、我慢でちゅよ~」などと教えてくれるわけないのだから、「血」ぐらいはくれてやっても、多くの人は「叩く」行為を行うだろう。・・・「叩っ切ってやる!」と言ったのは・・・・萬屋なんだったっけ・・・・破れ傘・・・・なんだったっけ・・・。 さて、叩いて、ここで、安心してはいけない。 ピシャン!やったぁ~!と思って、手の平を開けた途端、ぷ~んと飛び逃げた・・・・なんて経験はおありではないだろうか。これを防止するためにピシャンとやった後はすぐその部位から手を離してはいけない。グリグリグリと押しつぶすのである。これはよく見る道路工事のローラー車に似ている。そうしていると、「蚊」の最期のぬくもりが僅かに手の平に伝わってくるのである。 「五分の魂」とはよく言ったもので、こうしておばさんは自責の念にとらわれながら、座頭市の如く・・・「はぁ~・・・また殺っちまった・・・」と目を開けることなく心で呟きながら、ぺちゃんこのままの「蚊」を顔面にくっつけたまま、深い深い眠りにつくのである・・・・。 秋とはいえ、温暖化のせいか、「蚊」の出没時期も年々伸びているような気がする。おばさんの近辺では、11月・・・下手すりゃ12月入ってからも「蚊」の出没は夜な夜な見られる。でもまぁ、この頃はほとんどが、力なく漂って飛んでいるようなので、なんとなく哀れに思い、「ぷ~んぷ~ん、こっちの血ぃは甘いぞ」などと手を腕を差し出したくなるのであるが・・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 28, 2002 02:45:26 PM
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