【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

おばさんが作った死語ブログ。人生いろいろに語ります。

おばさんが作った死語ブログ。人生いろいろに語ります。

Freepage List

November 19, 2002
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
 この時期になるとやっぱ、飲む事もふえますよね。し、か、し、幼児を持つおばさんには夜の飲み会など、と、とんでもない非国民扱いされる我が家であります。
 といっても、誘ってくれる友達もいないので、楚々として年末は暮れていくのです。年末の大掃除?うひゃひゃひゃひゃ・・・やらないよ。大体、掃除機かけてるすぐ横で菓子食ってボロボロこぼしてる幼児がいる以上、窓ガラス拭きゃハナマルでしょうか・・・・。

 おばさんが仕事に遊びに全精力を傾けていた頃の話。接待に「男」はつきもの、あ、じゃなかった「女」はつきもの。だけど予算が足りない。つまりコンパニオンなんか呼べない。だがしかし、どうしてもこの仕事が欲しい時、ものにしなければならない時、若かりしおばさんは、突如ボディコンガールとなり夜更けの飲み屋に同僚と腕組みながら接待に出掛けていたのであった・・・・。今日はそんなお話。

 大概の取引先は、暗い色のスーツに身を包みオカタイ話を眉間に皺寄せて商談進めるいつもの私が、見違えるほど「オンナ」になっているのに驚愕し、同時に鼻の下を伸ばす。その顔が見えれば、まずその後の商談はうまくいく。
 「よっしゃ、この調子でもらおうか。」同僚がおっさんの顔色を見て私に耳打ちする。
 「今日も悪いな、こんな役目で。」苦笑いする私にまた囁く。「ヤバイと思ったら、例のこれ、な。」手に握らせたのはタクシーチケット。降車時、サインひとつで経費に落とせる。但し、そのサインは社長のサインを模倣する事。その模倣技術も私は既に習得済みである。万が一のために、経理担当者にも話はついている。昔から。
 
 酔っ払い相手なぞ私にはさほどの難儀ではない。田舎の企業が田舎の企業を接待する。適度の時事情報と盛り沢山の猥談とデュエットの曲が歌えれば、馬鹿笑いして1、2時間はすぐ過ぎる。同僚はそれぞれ役割分担があり、エスコート及び会計のYくん、太鼓もちのKくん、見張りのTくん、そして私である。Tくんの役目はつまり、先方が鼻の下伸ばしすぎて私に異常に荒い鼻息を吹きかけそうになると「いややややや、そろそろ歌でもどうですか、ねぇ、なかなかのいい声だそうじゃないですかぁ、ははははははは・・・・いやね、実はカノジョも、『イ~イ声』出すオンナなんですよぉ・・・あっははははは。え?そうでしょ、聞いてみたいですよねぇ、どうですか?お決まりの『銀恋』なんか?」とかいう具合に、欲情を反らせる役目である。
 なんで日本の男は酔っ払うとやたらと「女」に固執するのか?商談に「女」を使う割りに、仕事に「女」の居場所は数少ない。「女」が必要なくせに、「女」を認めていない。当時の私たちの憤然たる一致した意見でもあった。
 「あ~今度生まれ変わるんだったら『女』がいいよ。化粧して綺麗なべべ着て、スケベ男にチヤホヤされて、あ~『女』になりたい!」私たちは夜更けの道路にGメン75みたいに横一列に並んで歩き、Yくんの戯言を聞く。でも誰も彼に意見を言わないのは、Yくんは絶世の美形の持ち主の「男」で、そのまま「女」になっても通ってしまうのを周知しているからなのだ。きっとみんな「生まれ変らなくても、そのままで「女」やれるぞ。」と内心思っているのだ。
 皆、20代だったなぁ・・・・。それがバブルの頂点の頃で、こんな不景気な世の中になるなど考えてもいなかったあの頃の若さだった。
 
 さて、私の役目が終わる頃、つまりこれ以上私がこの宴席に付き合うとほんとにやばい目に合うと思われるので、退散する。接待相手を見送る時、「カノジョも一緒にタクシー乗ってけよ。」などと言われた日にゃ断る事など出来ない。とにかくその前に失せなくてはいけない。

 同僚の「次行きましょうよ、次。」という合図で私はあらかじめTくんの呼んだタクシーへ乗り込む。 
 他の同僚が接待相手をなだめる。「ま、ま、ま、いいじゃないですか。もう一件お付き合いさせて下さい。もっといい子がいるんですよ。」ほんとかどうか知らないが、こっちの知ったこっちゃない。「カ~ノジョ~~~」言葉まで私の体にまとわりつく。小走りしながら、バックに手を突っ込み、あの、タクシーチケットの存在を確認する。
 「もう帰っちゃうの?もうちょっとつきあってよ~。おじさんとイイとこ行こうよ~」接待相手のおっさんが乗り込む私の背中に未練の言葉を投げつける。残った同僚が酔った振りしておっさんの肩を抱え、ひきとめている。タクシー運転手がルームミラーでそのやり取りをうかがい、少し苦笑いしたような気がした。
 タクシーが走り出せば、もうこっちのもの。今後の商談に私は出席しない。主に商談の資料作りに専念する。例えロビーで出会う事があっても、会釈だけすればいいのだ。
 タクシーが心地よく走る。行き先を告げれば、私が自宅へ帰ろうとしていることくらいわかっているのだろう。こんな街中から郊外の隣町のド田舎への行き先だから。

 深い溜息をつく。今日も終わった。ぼんやり外の景色を眺める。ふと視線を感じるが、この車中での視線は運転手以外にはないはずだ。気付かぬ振りで様子を伺う。しかし、彼は私が視線に気付いた事をとうにわかっていたようだ。
 「お疲れ様でしたねぇ。」運転手の彼が話し掛ける。
 「そうですねぇ。」車の中で二人だけ。しかも運転しているのは当然ながら運転手の彼。歳は40代後半か?やせがたで細い目。ルームミラーをチラチラ見ながら、私に話し掛ける。
 ・・・困ったな、個人戦は弱いんだよな。黙って運転してておくれよ・・・私はおそらくそんな顔をしていただろう。
 「少しお話ししていきましょうか・・・。」運転手が声を低めに呟く。「夜の運転なんてつまらないもんですから、話し相手がいると嬉しいんですよ。」
 ・・・・お客さんがタクシー運転手にやたら話し掛けるのは聞いた事があるけど、アンタ、言ってる事が逆だろう。・・・私は少し焦り出した。その焦りはおそらく自分の中の防衛本能が働いていたからだと思う。
 「この運転手、やばいぞ。」と思い始めたのは、話題がやたら猥談に傾く事と、自分の奥さんとうまくいってない話題が出始めた頃からだった。
 私もいい加減うんざりしていた時、彼は当たり前みたいに言い放つ。
 「このまま、俺とどこかでイイ事しようか?」

・・・・5000文字を突破。なので、後編へ続く・・・・。
 

 
 

 
 





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  November 21, 2002 03:20:43 PM
コメント(1) | コメントを書く


PR

Profile

153

153

Comments

コメントに書き込みはありません。

© Rakuten Group, Inc.