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おばさんが作った死語ブログ。人生いろいろに語ります。

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January 19, 2003
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カテゴリ:カテゴリ未分類
 新年の初売りに配偶者が「春財布」を自費購入した。ほくほく顔で包みを見せて「ほぅら~、初春に買う財布は縁起がいいからね~。」と見せびらかす。おばさんは特別興味も無く、おばさんの財布から払ったわけでもないので、「へぇ~良かったね。」と流した。自分の小遣いで買う気になったんだから別段とやかく文句をいうわけでもないが、そんな余裕があるんだったら、妻に洒落たべべの一枚でも買ってくれよ・・・と考えながら婦人服売り場の横を通り過ぎる。ホントは悔しいおばさんは「いくらしたの?」とまた話題をもどして話し掛ける。
「2,900円。」安いよね~・・・などとニコニコしている。フン、そんな値段で安いなどとアンタ買い物のトウシロだね。などと考えるおばさん。他人の嬉しそうな顔を見るとなんでこんなに腹が立つのか。いや、別に腹を立ててるわけでもないのだが。やっぱり悔しいのだ。「ねぇ、アタシにも何か買ってぇ~ん。」とおねだりすればいいのに、それが言えない。素直じゃないおばさん・・・。

 帰宅して配偶者はさっそく財布の交換作業を行う。黒の革財布、二つ折り。タグを切り、小銭入れのポケットを覗いている。カード入れに何気なく、指を突っ込む。
 「ビリリッ」カード入れのポケットの縫製部分が破ける。
 「あ~」配偶者は残念な、誠に悔しそうな表情をする。小走りにおばさんの所に走って来て、「や、やぶけちゃった・・・」その顔つきは今にも泣きそうである。処女膜じゃないんだから、そうそう簡単に破けるもんでもなさそうだが、見事にビリビリっと破けた。
 「ふぅん。」おばさんはごく冷静に、いや冷たく眺める。
 「ど、どうしよう。」どうしようって言ったって、・・・男ってどうしてこんな日常的な出来事の対処方法が思い付かず、困り果てるのか。いつも行ってるデパートなんだもん。
 「レシートは?タグは捨てないでね。」事務的に言い放つおばさんに配偶者は只オロオロと捜しまくり、手に握って立ちすくむ。
 「あったよ。レシートも捨ててなかった。」

 おばさんはレシートと現物片手に受話器を手にする。
「あ、もしもし。すみませ~ん、さっきそちらの財布売り場で男物の財布を買ったんですけど~・・・」
 話は5分もかからない。お客から売り場へ電話が掛かれば、大概の店員も用件の察しがついている。
 レシートとタグを大事に不良品の財布へ挟みこみ、袋に入れ直す。
 「どうだった?」・・・どうだった?とは失礼な。交換だよ、交換。買うときはね、よ~く見て触って撫で回して、それで決心したら買うんだよ。・・・などとは言わない。配偶者の自尊心を傷付けてもいけない。
 「交換してくれるって。また行かなきゃ行けないけど。1ヶ月以内には行きますって言っといた。」
 「あ~良かった。」ひどいよな・・・せっかく自腹で買ったのに・・・配偶者はホントに悔しそうであるが安堵の表情もありありと窺える。
 ・・・その前にこの私に「お手数掛けたね。ありがとう。」位の言葉言えよな。

 そんなこんなで今日、その財布を売り場に持って行き、交換してきた。
 売り場を見渡す。もう正月の雰囲気はどこにもなく、少しずつ近づく「春」に向って売り場もそろそろ変化しつつある。
 僅かなスペースに財布が並んでいる。交換すべく新しい財布を物色する配偶者の表情に若干の不快感が漂っている。おばさんはその理由を並べられた商品を見て理解出来た。そんな顔つきをしながら配偶者は辺り構わず、触って、撫でて、指突っ込んで、引っ張ったり、覗いてみたりしながらお気に入りを捜している。
 電話で話をした責任者が低姿勢で現れる。こうゆう話をする時はぼろい服を着ていてはなめられる。きちんとした格好で来て良かった。いくら両手にハナタレ幼児を連れた母親でも、服一枚の違いで心の中を見透かされたような態度をされては新年早々不快極まりないからね。
 配偶者の気に入った財布を差し出し、レジへ。
 こうして「新年春財布ビリッと事件・・・中年紳士が自腹で買った牛革財布の行方は如何に?!」は無事解決した。

 おばさんはさっきの配偶者の不快な顔つきを思い出しからかいだす。
 「今日の財布売り場の商品、いい商品が多かったねぇ。」
 「み~んな、お手頃値段ばっかりであれなら新年だし、買ってみようかなって気になるよねぇ。」
 「千円とか2千円でいい財布買えたじゃな~い。今日来て良かったわよ~。」
 「あの時の商品ってみんな三千円以上ばっかりだったもんね~、確か。」
 おばさんは思い出したようにポケットから千円札一枚と50円玉一枚を配偶者に渡す。「あ、これ返金分ね。」
 「正月だから、縁起がいいから、って結構勢いで買っちゃうのよね~。」
 高らかに笑う妻を横目に、配偶者は返金分1,050円を大事そうにポケットに押し込むのであった。
 






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Last updated  January 19, 2003 04:06:37 PM
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