作曲と編曲する人は
冷たく雨がずっと降り続いています。明日には東京は台風20号の接近が・・・でも、歌詞が届いて仕事です。作曲して編曲する。ただ8曲もまとまってきた。納期もあるのですぐに出発。歌詞を読んでまずは映画のように場面展開や人物の表情を設定する。これは絵コンテ作りみたいなもの。それを見ながらメロより先にコード進行の展開をする構成を決める。コードをリズムで進めてリズムの変化を決定する。これがバッキングという伴奏が先にできる。ここまでできたら鼻歌でもピアノでもギターでもメロを考える。面白いのはこの鼻歌とピアノとギターの特徴がメロに入ってしまうこと。鼻歌だと自分の声のキーの範囲に。ピアノだと片手の開く範囲に。ギターは弦を上から下まで。みたいにメインになる音程の範囲が妙に違う。これは作った人がどれで作ったかわかってしまう。(笑)1つの曲について3つぐらいメロを作って伴奏を入れて録音。何回も聞いてひとつを選ぶ。これは電車に乗っているときとか楽器のない状態で聞くから一般の人になりきるわけです。こうしてできた曲のメロはここで触るのをやめる。やったらキリがなくなってしまうから。次に編曲に入る。まず基本的にはドラムを決め、次にベース。これにメロを入れて何回も聞いて修正する。次にピアノとギターを入れて同じようにリズムとコードができてメロと合わせて聞いて確認。やっぱり電車の中とかで聞く。ここまでがバッキングの完成とする。次にやっとイントロや間奏、エンディングをメロとして作っていく。ここではメインのメロのコード進行やリズムと同じにするか別物にするかは気分しだい(笑)このイントロや間奏、エンディングのメロを楽器を決めてフレーズ単位で変化させて切り替えていく。次にメインのメロに対する「おかず」という2ndメロを入れていく。これはイントロなどでやったような手法でやってもいいし独自に同じコード進行で作れるメロを重ねていってもいいし、メロのハモリをメインにしたり追いかけをさせたり愛の手にしたりストーリーの主人公の周囲の人物の動きとして構成できるように作る。このあたりは聞きながら変えてマッチするように作ったり壊したりで一番時間がかかるみたいだ。こうして完成するのだが実は自分で満足したものと依頼された事務所のイメージが違うとまずいので、あくまでも相手にあわせる。こうなると自分の好きな得意な部分がなくなってしまいそうだがそこはちゃんと「隠し味」がどこかに入っている。これが自分のオリジナリティの「色」になるわけ。いつも同じような「じぶん」がそこにはある。じつはこの「隠し味」はどうして入れたのかは相手には具体的にはわからないが「この人が作るとこうなる」という漠然としたもので見てくれる。これが料理と同じ「隠し味」。そして作家の「トレードマーク」。自分の趣味で気分転換したりするとこの「トレードマーク」が変わってしまうので、作った曲は自分では変化に富んでいいかもしれないが依頼人からは「誰に頼んでもいい」というようになってしまい「この人に頼みたい」という期待に応えられなくなってしまうからプロとしてはできない。一般の人が曲を聴くと誰が作ったかわかってしまうようにそれが作曲者の「色」がどんな曲でも入っているということなのだ。「あの人が作ったのはみんな同じ感じ」というのがその「色」で注文する人はそれを期待して注文するから、もし違ったら裏切ったみたいなことになっちゃいます。