カテゴリ:アート
ちょうど新日曜美術館のアートシーンで紹介されていて ぜひ見に行きたいなと思っていたところ、新聞に訃報が 載っていてびっくり。追悼の意を込めながら鑑賞しまし た。私がこの作家を知ったのは、天王洲アイルにあった 巨大なゴミ箱のオブジェでした。缶ビールやら日本酒や らの段ボール箱が折り曲げられて捨ててあって、これが 陶でできているとは!と驚愕したことを覚えています。 さてこの展覧会。1階は初期の抽象画やコラージュ作品、 シルクスクリーンなどの展示が中心です。昭和の時代を 感じる懐かしい光景の作品があったり、なかなか面白か ったのですが、本人は、これではだめだと思い、陶によ る作品を作り始めます。ガラスケースの奥にそんな「割 れる印刷物」の初期作品が並んでいます。 溢れる情報を永遠に保存しようと陶に写してみたけれど、 実は陶も割れやすいんだ....という情報化社会の不安を 表現しているとのこと。なるほど!と感心。 2階の会場は、そんな陶の作品ばかり。ただ陶で表現さ れるのは、情報から空き缶や古雑誌、段ボールなどの ゴミに変わっていきます。おまけにそれらがどんどん 巨大になっていきます。 途中で陶製の空き缶のオブジェを実際に触れるコーナー がありました。さすが陶でできているため、かなりの重 さがあります。やはり触ってみないと分かりません。 <先日、オッペンハイマーの映画を見たばかりなので印 象に残りました> そして一部屋すべてを使った「20世紀の記憶」のコーナ ー。ひとつひとつに20世紀の様々な新聞記事が写し出さ れたレンガ片。その数何と1万個を超えているとのこと。 廃墟のようです。過去の情報は実態を伴わない「記憶」 なんだなぁと思いました。それでも20世紀後半を生きた 自分には「記憶」がありますが、実体験のない若者には どう映るのでしょうか。 入口に追悼文が掲示されていました。合掌。しっかりと 記憶に残る素晴らしい展覧会でした。(6/27) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年06月30日 15時11分16秒
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