カテゴリ:読書/映画・TV鑑賞
ほんとうの仏教理解に役立つ推奨本として、拙僧の読了本、愛読書の中から、手に入れやすく安価なものをご紹介します。我が国の仏教は、宗派宗旨に囚われすぎて仏教本来の大らかさと優しさを失っているのではないでしょうか。人の死に関わるのに忙しく、人の生に関わること、心の平安に関わることに努力が足りないような気がしています。読書の秋、仏教の原点に遡る時空の旅に出かけませんか。 原訳「法句経」一日一話 A・スマナサーラ著 佼成出版社 お釈迦様の肉声、まさに福音がそのまま残されたダンマパダ(真理のことば=法句経)のパーリ語からの原訳。分かりやすいことばの中に、日々の悩み苦しみから貴方を救う教えが語られています。慈悲に満ちたそのことばに触れるとき、きっと心があたたかくなりますよ! 仏教の思想(4)~認識と超越<唯識> 服部正明・上山春平著 角川文庫 唯識思想は、中観思想とともにインド大乗仏教の二大学派を構成しています。有名なアサンガ(無着)やヴァスバンドゥ(世親)によって体系化されました。ヨーガの行の実践哲学として発展しました。般若心経の翻訳で有名な玄奘三蔵が孫悟空?とインドに行ったのも唯識のほんとうのところが知りたかったからなのです。我が国仏教の原点ともなった華厳経の如来蔵思想や禅の実践にもつながるものです。下記「空の思想史」と合わせ読むことで大乗仏教の源流を理解するのに役立ちます。 空の思想史~原始仏教から日本近代へ 立川武蔵著 講談社学術文庫 一切皆空、神も世界も私も実在しない。絶対の否定。大乗仏教の祖ナーガールジュナ(龍樹)とその弟子たちが育んだインド仏教とその思想が、中国・日本でどのように変容し発展していったのか、経典や論書の生々しい詩偈を解釈していくうちに何だか分かったような気がします。般若心経の色即是空、空即是色の意味もどんな解説書よりよく分かります。 真釈般若心経 宮坂宥洪著 角川ソフィア文庫 般若心経と言えば、漢訳、特に玄奘三蔵訳を底本とする流布本が親しまれてきました。数多く出版されてきた解説書類もこの漢訳を基にしたものがほとんどです。サンスクリット語原典の日本語訳であっても、漢訳を行った中国仏教の解釈や我が国仏教に伝統的な解釈が行われているのです。本書はサンスクリット原典を基にその語句解釈もサンスクリットの原意によって解説された、当に目から鱗の真釈であり、難解だと思われている般若心経が、心の平安、悟りの境地への導いてくれる方法を説いたものだと得心できます。前記の「仏教の思想4~認識と超越<唯識>と「空の思想史」と合わせて読めばより分かりやすく理解が深まりまるでしょう。 般若心経は間違い? A・スマナサーラ著 宝島社新書 お釈迦様以来の仏教正統を守る上座部(長老派)仏教の長老が、初期仏教のお釈迦様の教えやその解釈に従って、大乗仏教の般若心経を解読するとどうなるか? 大乗仏教の徒である拙僧も仏弟子であると宣言している以上、冷静にこの書の言葉に耳を傾ける義理があるものと思い最後まで読みました。(毒気はキツイので要注意)お釈迦様の仏教は誰にでも分かる教えだとする上座部の立場を小乗仏教と蔑み、合理的な解釈を妨げてきた我が国仏教の伝統的立場に、長老は疑問を投げかけ、お釈迦様の説かれた真理へとアクセスする道のりを示してくれています。それにしても我々大乗の徒は不肖の仏弟子ですねえ。お釈迦様は許してくれるのでしょうか。慈悲に満ちたそのお顔で怒らないでね。「宗論はどちらが勝っても釈迦の恥」と落語でも言われているようにどの宗派も仏教と名乗る以上、お釈迦様の教えられた道なのですからね。ほんとは大乗も小乗もどちらに偏っても邪見になり、二見に偏らない一つの道、中道こそ仏教本来のあり方なのです。 ブッダは、なぜ子を捨てたか 山折哲雄著 集英社新書 お釈迦様は我が子に「ラーフラ(悪魔)」と名付け、両親妻子を捨てて出家しました。インドの伝統とは言え、まるでどうしようもない不良オヤジのような所業です。その人の言葉と思想が二千五百年を経ても、世界宗教として光を放っているのは何故でしょうか? その思想の真髄とは?日本へどのように広まり浸透していったのか? お釈迦様は今どこにいるのか?この本を読むとブッダとその思想が生きいきと甦ってくるように思えますよ。 日本の歴史をよみなおす 網野善彦著 ちくま学芸文庫 目から鱗の日本史読み直し。歴史の常識への囚われから離れて文献を読み直すと見えなかった歴史の細部が活き活きと蘇って来るのです。日本の歴史や文化に長く深く関わってきた仏教に対する認識も変わります。 以上、脈絡無く思いつくままに選びました。ご参考になれば幸いです。 ナムブッダ合掌 観学院称徳 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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