思惑が人を動かす
「世人は何によって束縛されているのですか? 世人をあれこれ行動させるものは何ですか? 何を断ずることによって安らぎ(ニルヴァーナ)があると言われるのですか?」「世人は歓喜に束縛されている。 思惑が世人をあれこれ行動させるものである。 妄執を断ずることによって安らぎがあると言われている。」 (『スッタニパータ』第1108,1109偈 中村元訳 岩波文庫刊)この言葉を理解しようと思うとき、一番分かりやすいのはバブルとそれに続くバブルの崩壊を顧みることです。ビットバレーが騒がれた日本版ITバブルもそうでした。その申し子とも言えるホリエモンもそうでした。これは他人事ではありません。物事が何でも上手くいき成功して歓喜に溢れているときは、さらなる成功を求めて、思惑であれこれ動き回るのが、人の常です。歓喜が、いつの間にかそれをいつまでも続けたいという妄執となり、妄執が苦しみを生んで、心休まることがなくなるのです。歓喜すること自体はすばらしいことです。しかしそれがいつまでも続くものと思う囚われを生まないようにするには歓喜が有り難いことであると、感謝の念を持つことです。いつまでも続かないものであると、諸行無常を知ることです。歓喜は感謝!合掌 観学院称徳