花折り人~チューリップオヤジの悲哀
各地で続発している心ない花へのいたずら。人の心を楽しませてくれるチューリップなどを折ったり引き抜くなどの悪質ないたずら、否、器物破損という立派?な犯罪が続出しています。特に、全国都市緑化フェアが開催されているJR前橋駅周辺では、プランターのチューリップ約1900本が切断される事件が起こっていますが、その犯人のひとりのまさに犯行を防犯カメラの映像がとらえていたのをニュースで見ました。分けの分からぬ若者の暴挙に違いないと想像していた拙僧は、若者に対する偏見にとらわれていたことに気付かされました。世の若者諸君、ごめんなさい。その映像に映っていた犯人は、何とスーツ姿の4,50代サラリーマン風の男でした。傘を振り回してチューリップの茎をなで斬りにしながら歩いています。会社でも家庭でも蔑ろにされ続けて溜まった鬱憤を、けっして彼に仇なす事のない花にぶつけて晴らしている。酔っているのでしょうが、分別盛りのはずの男の情けない姿に怒りより悲哀すら感じてしまいました。彼はこの一事によって、彼自身の培ってきた全人格を自ら否定したのです。その罪の深さは器物破損罪の量刑より更にさらに重く深いものです。一方、花たちに宿っている仏たちは命を投げ出して彼の心を癒そうとしている。まさにその壮絶な現場の映像に拙僧は戦慄を覚えました。彼の犯した犯罪は、多くの子供達や老人達、心ある大人たちを悲しませました。当の本人にも酔った勢いで犯したその罪の重さに自ら気付くときが来るでしょう。弱きものへの慈しみの心と不殺生は、お釈迦様が最も大切なこととして教えたものです。人のふり見て我がふり直せ! ことわざにも言うように心したいものです。生きとし生けるものが幸せでありますように!合掌 観学院称徳