ツバメと梅
去年の夏は、近所のクリーニング店でツバメの巣立ちを見守った。酷暑の中、ツバメの様子を見んが為に図書館へ通っていた。無事に巣立ったツバメを誇らしく思った。が、まさかのそのクリーニング店が閉店した。取り壊しだろうと思っていたのだが、空室有りという貼り紙が貼られた。ということは内装だけをやり直し、建物の取り壊しはしないということらしかった。実は巣はまだ残っていた。そして私は密かに知っていた。その巣のヘリのところに、ツバメの羽が一枚だけ乗っかったままであることを。ついに内装工事が始まった。男性二人が作業をされている。「あのー、すみません、(指差して)あの羽が欲しいんです。取ってもらえませんか?」と、声をかける勇気は、…ない。梅がきれいに咲いてましたよ。