カテゴリ:本、小説
安心社会から信頼社会へ 日本型システムの行方 中公新書 山岸俊男 安心できる関係と信頼できる関係は似ているようで違います。 人を信じるというのはお人好しのすることでしょうか。 それとも逆に「人を見たら泥棒と思え」と思っている人こそおろかな人間なのでしょうか。 TPOによって使い分けが大事だ!という相対主義ではなく 他人を信頼するとはどういうことか、信じると信じないではどういうことになるのか データに基づきどちらが「社会的な知能」が高いといえる人間なのか はっきり言い切っているところが気持ちいいです。 いろいろ興味深いデータがあるんですが、なかでも目に留まる実験データがありました。 それは他人を信頼しやすい人は高学歴者になるほど多いというものでした。 しかしこの結果には幾つかの解釈が可能であります。 一つは無事に大学を卒業した人は比較的恵まれた 世の中でひどい目にあった経験をあまりもってない人たちで あってお人好しな考えをした甘っちょろいヤツだという解釈。 もう一つはこれとは逆に高学歴者は高校や大学を卒業するまでの過程で 出会う様々な問題をうまく乗り越えることができた社会的に賢い人だという解釈。 どちらが正しいのかは本書を読んでもらえばわかります。 相対的な答えではぐらかさずはっきりとした答えを出しているのは本書の良い特徴です。 他人を信頼するという行為はいろいろな人と出会い いろいろな人の人間性について学ぶ機会を多くすることになり 社会的知能を育成するための機会に恵まれる。 他人を信頼できないと思っている人たちは そもそも相手との間でちゃんとした関係を築くのは不可能だと思っているわけだから そういった機会に恵まれない。 思うに人との出会いって人生の醍醐味な部分があると思うんですよ。 限られた時間を生きてるわけだしそのなかで酸いも甘いも経験したもん勝ちじゃないかなと…。 最初から決め付けたりシャットアウトしていてはもったいないということなんです。 信頼することはその一歩が始まるきっかけになるわけです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.06.12 13:23:21
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