私が語りはじめた彼は(三浦しをん)★★★★★
エッセイを読んだことがある人なら、イメージのギャップにまず驚き、そしてきっと感動するはずです。凛とした美しい文章、完成された小説の世界。三浦しをん、うますぎる!この人の本は、読むたびに新しい一面を見せてくれて、なおかついい意味で期待を裏切ってくれます。内容は、村川という女性関係が派手な大学教授をキーにした、視点の異なる6つの連作短編集。視点が異なるだけで(また語られる時代もバラつきがある)、すいぶんと同じ話が違って見えてくるので、タイトルもそのあたりの意味を含めているのでしょう。(あくまでも「私」が語る「彼」の話、という意味か?)この本は、「第2回本屋大賞」にもノミネートされています。さすが、目利きの本屋さんははずしませんねぇ。